SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティングモデルの基本解説

【第1回】パーセプションの基本のキーー心を動かすには、消費者の主観的価値へのアプローチが重要

感情的価値によって圧倒的に支持されたiPhone

 感情的な価値が差別化に繋がる例を挙げましょう。たとえば、AppleのiPhone。iPhoneがスマートフォン市場をけん引するフロントランナーであることは、周知の事実です。

 実は2007年の発売当時、「ガラケー」と呼ばれるフィーチャーフォンと比較すると、iPhoneは機能の数では劣っていました。しかし、画面に直接触れてタッチパネルで操作するという携帯電話らしからぬ画期的な機能と目新しさを訴求し、消費者は従来の携帯電話にはない「新しい体験」を支持しました。実用性だけでなく、iPhoneを操作すること自体に驚きやワクワク、期待感といった感情が結びつき、消費者に価値があると認識されたと考えられます。

 そして、現在のスマートフォン市場はiPhoneの登場以降、他社の追随や新規参入もあり成熟しつつあります。カメラの性能やディスプレイ、バッテリー、スピーカー、マイクの音質など、機能面で大きな差はないように思います。つまり、スマートフォン市場はコモディティ化に差し掛かっていると言えますが、こうした状況下でも、日本におけるiPhoneユーザーのシェアは高いとされています。加えて高価格であるにも関わらず、多くのユーザーに今も選ばれるのはなぜなのでしょうか?

感情的・心理的な価値がブランドエクイティを高めていく

 もちろん、iPhoneの直感的な操作性による使いやすさ、性能、Appleサポートの応対品質など様々な要素がありますが、多くの消費者がiPhoneを支持するのには、恐らく「デザインが良い」「先進的である」「かっこいい」「誇らしい気分になる」といった“イメージ”による動機が大きいのではないかと思います。読者の中にも、こうした理由でiPhoneを選んでいる方が多いのではないでしょうか。

 このように、機能的な価値だけでなく、消費者が抱く様々なイメージは消費行動に大きな影響を与えます。こうした商品やサービスなどのブランドに対する認識の蓄積を、ブランド論の第一人者として知られるD.A.アーカーは「ブランドエクイティ(ブランド資産)」として体系的に整理しています。

 ブランドエクイティは、「ブランド認知」「ブランド連想」「知覚品質」「ブランドロイヤリティ」などから構成される概念です。ここでは詳細内容の説明を割愛しますが、マーケティングの結果として、消費者の頭の中に蓄積されている知識やイメージまでも含めて「資産」と捉え、適切に管理していくことが重要だと述べられています。

次のページ
「客観的価値」ではなく、「主観的価値」が満足度を高める

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
マーケティングモデルの基本解説連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

安野 将央(ヤスノ マサヒロ)

株式会社マクロミル

シニアマネージャー/マーケティングサイエンティスト

 

大学卒業後、D2C企業にてデータベースマーケティングに従事。新規顧客の獲得からリピート顧客育成まで、LTV(顧客生涯価値)をベースとした顧客分析でPDCAマネジメントを担当。マクロミル入社後は、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/02/28 07:00 https://markezine.jp/article/detail/38346

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング