※本記事は、2022年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』74号に掲載したものです。
コロナ禍におけるタクシー利用シーンの変化
2016年以降、タクシー事業者と広告事業者との事業連携が進み、首都圏を中心に急速な普及が見られたタクシーサイネージ業界。IRISが提供するタクシーサイネージメディアTokyo Primeは2016年に東京でサービスを開始以降、展開エリアは全国12都市へと拡大し、設置台数も2022年1月には5万4,000台まで数を伸ばしている。
そんなタクシーサイネージ業界に、コロナ禍である変化が起きた。それはBtoB企業の出稿がこれまで以上に増加していることだ。2021年7月からのTokyo Primeのエントリー状況を見ると、広告出稿枠は販売開始して3日ほどでほとんどの枠が完売し、100%近い成約率を維持している。
この背景にあるのは、コロナ禍におけるタクシー利用シーンに変化が起きていることだ。緊急事態宣言の発出により外出自粛やテレワークが浸透し、これまでタクシーが多く利用されていた夜間帯の会食機会は減少した。しかしその一方で、テレワークでは対応できない仕事で出社や移動をしなければならないビジネスパーソンが、人が密集する電車よりもタクシーを利用するケースが増えたのだ。
図表1を見てみると、アフターファイブから終電後の利用は、2021年9月はコロナ前の2019年9月と比べて大きく減少しているが、その代わりに出勤から日中の時間帯のタクシー利用が増えていることがわかる。
利用時間帯の変化が起きているということは、乗客の属性もビジネスパーソンの割合が増加しているということだ。その結果、ビジネスパーソンに効率よくターゲティングしたいBtoB企業の出稿が増えたということである。
クライアントのBtoB企業は、自社の製品・サービスの知名度向上に課題を抱えていることが多い。仕事の合間の移動手段にタクシーを使うビジネスパーソンが増えたということは、つまり“仕事モード”のときに広告が目につくということ。決裁者層やサービスの選定担当者へ向けた効果的な広告出稿ができるメディアとして、タクシーのデジタルサイネージが選ばれやすくなっている。