SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

ヒットの裏にマーケあり

奇抜な食パン屋、ヒットの秘密は徹底した現場の観察

カレーパンには嗜好品としてのマーケティング戦略がある

高橋:2020年8月にオープンされたカレーパン専門店の「カレーパンだ。」は、ネーミングはそのままですね。

岸本:食パンが実用品だとしたらカレーパンは嗜好品だと思ったので、食パンとはまったく別の切り口で展開することにしたためです。

 カレーパンって、我が社のデータで見ても絶対に売れるパンの上位に必ず入っているのに、包む手間などがあるからか、専門店として繁盛しているところはなかったんですね。

 それでも、具をグリーンカレーにするなど、生地と中身の組み合わせが無限大で汎用性がある上、コロナ禍で在宅ワークをしながらワンフィンガーで食べられる手軽さにもニーズがあって、意外とブルーオーシャンだったんですよ。

 それで、専門店を通してカレーパンを楽しむカルチャーを作りたいと思い、「カレーパンだ。」というブランドを立ち上げました。ただ、食パンほど日常性はないため、存在を広めるにはダイレクトなネーミングが良いだろうと思ってこの名前にしました。

岸本拓也(きしもと・たくや)

 1975年生まれ。神奈川県出身。ジャパンベーカリーマーケティング株式会社代表取締役社長。「考えた人すごいわ」「どんだけ自己中」など、個性的な店名と奇抜なデザインの高級食パン専門店をプロデュースした、食パンブームの立役者。2020年8月にはカレーパン専門店「カレーパンだ。」をリリース。

早めの投資回収を見据えた出店戦略

高橋:なるほど。確かにカレーパン専門店は見たことがありません。潜在的な消費者ニーズが見えているマーケットなのに専門店がなかったのは意外ですね。ただそうなると、出店する立地なども食パン専門店とは変わってきますか?

岸本:そうですね。「カレーパンだ。」は4~5坪ほどあればできるので、一時のブームが去ったために潰れてしまったタピオカドリンクのお店の居抜きなどが良いと思っています。4~5坪だと建築費用もあまりかかりませんし。

 食パンの場合は長期の投資回収を目指すので、イニシャルコストに7,000万円近くかけた店舗もありますが、カレーパンの場合は嗜好品ということで、投資回収のしやすさも念頭に置く必要があると思っています。その点から、食パンのように1つの町に1つではなく、札幌に1店舗、大阪に1店舗、と人が多く集まるエリアを中心に、商圏を広くとるようにしていますね。

札幌市にある「カレーパンだ。」
札幌市の「カレーパンだ。」

高橋:アレンジがしやすい点や、投資回収がすぐできるという点でも、カレーパンはビジネス的に非常に良い商材と言えますね。食パン専門店でも一緒に販売するなども検討できるでしょうし、可能性が広がりそうに思います。

岸本:まさに、食パン専門店に最近、カレーパンも置き始めたんですよ。食パン専門店のオーナーさんからの問い合わせも多いですね。この先、揚げているところを見てもらう店舗の作り、冷凍で発送するサービスなど、まだまだ可能性が広げられると感じています。

次のページ
食パンとカレーパン、それぞれで見据える戦略

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ヒットの裏にマーケあり連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/02/25 07:00 https://markezine.jp/article/detail/38398

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング