最新のマーケティング研究からも、DMに活かせる知見を紹介
MZ:奥谷さんはマーケティング関連の研究にも造詣が深いですが、アカデミックな領域において、DMに活かせる知見はあるのでしょうか。
奥谷:それで言うと、上智大学の外川先生が行っている一連の研究は興味深いです。たとえば、手間をかけるほど愛着や評価が高まるという認知バイアスを「イケア効果」と呼びますが、紙にもこれに似た効果が見られると言います。DMを送られた人は“会社がわざわざつくってくれた印刷物”と捉え、他の広告と比べて「自分のためのものだ」と認識しやすい傾向があるそうです。DMには五感を刺激したり、デジタルと比べ多彩な表現ができるメリットがありますので、このような結果を踏まえて「では、どう設計するか?」がマーケターの腕の見せ所ですし、丁寧に設計すると、本当に面白いことができると思っています。
MZ:最後に、本日教えていただいたようなDM施策に取り組む企業やマーケターに対して、実践におけるアドバイスをお願いします。
奥谷:DMは印刷部数や発送にかかったコストが可視化され、デジタルと紐づければ配信後の反応も見えるシビアな世界です。それらの数字と向き合うのは勇気がいることですが、ここまでにお話しした内容を踏まえて、ぜひ挑戦してみていただきたいです。
実践の手がかりとしてもう1つ、近年消費者研究の領域で注目されているスマートショッパーという概念を紹介します。これは、消費者は自分自身の買物行動について「私は賢い(スマートな)消費行動ができている」と感じたい、という願望を持っている、という考え方を指します。それは単にお得であるとか、機能性が高いということだけではありません。DMで言えば、それがカバンに入っていてもカッコ悪く見えないか、それを受け取って特別感を持てるか、といったことに、気を遣うと良いと思います。それができると、“スマートコミュニケーションツール”としてのDMの可能性も見えてくると考えています。
デジタル×アナログは組み合わせる時代へ。今知っておきたいDMの底力
デジタル施策で思うような成果が出ない、様々なチャネルを掛け合わせてお客様とコミュニケーションしたい。そんな悩みを「デジタル×DM」でいかに解決していくか、奥谷氏と日本郵便の松本 俊仁氏が議論しました。こちらからホワイトペーパー「悩めるデジタルマーケターに捧げる“アナログの強み”『デジタル×DM』は、どうして成功するのか?」をダウンロードいただけます。
★コンテンツの見どころ
(1)全日本DM大賞 受賞作品にみる学ぶべきポイント
受賞作品は、デジタルとの組み合わせ方が評価されつつある! 日本ロレアル、DINOS CORPORATION、オムロンヘルスケア、味一番などの実践を紹介。
(2)デジタルマーケターの課題を切り開くポイント
コスト効率はデジタル、効果はDMという考え方。両者をいかに使い分けるかを議論。
(3)「デジタル×DM」実践に向けてのポイント
生活者に寄り添うコミュニケーションを実現するために。
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