Z世代を企業のSDGs活動にどう巻き込んでいくか
では、企業はZ世代をどう巻き込んでSDGsを発信していくべきか。原田氏は2つの手法を挙げた。
1、Z世代のニーズにのっとる
1つめはZ世代のニーズにのっとること。「エコやSDGsを全面に打ち出しても、消費にはつながりません。それどころか、『押し付けられている』とネガティブに捉えるZ世代も多い」と原田氏。企業はあくまでも“Z世代のニーズにのっとった”おしゃれなモノを作るべきだと言う。
「まずはインスタやTikTokに載せたいと思うような見た目であること。プラス、環境にもいいから買ってみようかなと思うような商品・サービスが理想です。あくまでニーズにフォーカスするのが、まず重要だと思います」(原田氏)
2、やんわり伝える
2つめは「やんわり伝える」こと。「Z世代はわざとらしく全面に、押し付けがましく打ち出している企業には嫌悪感を持つ」と原田氏。
「主張は全面に出すのではなく、やんわり伝えることが重要です。たとえば、ユニクロがCMで女性同士が抱き合っているシーンを入れましたが、ある人が見れば同性愛、ある人が見れば女の子同士の仲がいいだけ。こんな風に、押し付けではなく、わかる人はわかってねというやわらかい姿勢のほうが彼らに刺さります」(原田氏)

信州大学特任教授。慶応義塾大学卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを務める。退社後も若者・メディア論の研究をしており、専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究およびマーケティング。「さとり世代」「マイルドヤンキー」の名付け親でもある。著書に『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)
(右)株式会社ユーグレナ コーポレートコミュニケーション課 課長 北見 裕介氏
2019年、ユーグレナに入社。現在は広報のマネージャーとして広報・PRの全体企画や、オウンドメディア運営など全般を担当。WEBメディア「サステナブルタイムズ」編集長。微細藻類ユーグレナやクロレラを活用した食品、化粧品等の販売、バイオ燃料の生産、遺伝子解析サービスなど幅広く事業を展開する中、2020年に出荷を開始したバイオ燃料事業では、陸海空の移動体導入のPR企画を推進。
「サステナビリティ・ファースト」を掲げるユーグレナ
続いて、ユーグレナの広報宣伝部 部長の北見祐介氏が登場し、自社のサステナビリティへの取り組みについて紹介した。
ユーグレナは、2005年12月に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功した東京大学発ベンチャー企業で、バングラデシュの栄養不足の人々を救いたいという想いから始まった企業だ。2020年で15周年を迎えたのを機に、新たに「サステナビリティ・ファースト」をフィロソフィーに掲げ、「事業の成功・成長 = 社会問題の縮小」となっていくべきであると考え、サステナビリティを軸に事業を展開している。特に、ユーグレナを用いたバイオ燃料の開発は先駆的な取り組みとして注目を集めている。
北見氏は、日本は「このままいくと地球がなくなってしまう」という危機感が足りないと言う。
「『持続可能性』という言葉がありますが、今日も明日もこのままで良いという言葉に聞こえてしまう。実際は『このままだと死ぬ』。『変わらないと持続できない』んです。そのため、事業はすべてサステナビリティ・ファーストでしか遂行しない、というくらい尖らないとダメなんですよね。それは社会を良くするためのロックンロールみたいな感じで、意識的にイノベーションを起こしていかないとSDGsは達成できないと思っています」(北見氏)