“SDGsへの意識が低い層”との接点作りをどうするか
率先してSGDsに取り組むユーグレナは、SDGsへの意識が高い層から強い支持を集めている。一方で、先に述べた通り、SDGsへの関心度はまだまだギャップがあるのが現状だ。今後、まだまだ意識が低い層との接点はどう作っていくべきなのだろうか。原田氏は、意識の低い層との接点作りについて、ユーグレナの取り組みを例に、次のように考えを述べる。
「ユーグレナさんは、先見の明もあってすごい会社です。一方で気になるのが、世の中の人たちは基本的にSDGsに限らず意識が低いため、接点をどう作っていくのか、ですよね。
私は“外部の人間を巻き込むこと”が重要になってくると思います。たとえばポケベルは、最初はお医者さんが手術に呼び出されるために持っていたのですが、渋谷の一般的な女子高生が『これ、どこでも連絡とれていいじゃん』と言って広がっていったんですよ。一般の人たちに広がらないとやっぱりマスにならない。これと同じように、一般的な人々をどうやってユーグレナさんがつかんでいくかという発想が出てくることが大事。社内に客観的でちょっと引いた目で見られる人がいるといいですよね」(原田氏)
Z世代を「CFO(最高未来責任者)」として迎え入れる
実は、ユーグレナは50年後の未来を考えたとき、時代の主役となる10代の意見を取り入れる必要性を感じ、2019年にCFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)という役職を新設し、18歳以下を募集。現在は二代目の16歳女性が務めている。
外部からのアドバイザー的位置では「会社は変わらない」との強い意志を背景に、社内に迎え入れることを選んだのだ。
若きCFOの呼びかけで、既に既存の飲料用ペットボトル商品をやめたり、SDGsの17の目標それぞれを、定款の事業項目に割り当てたりしている。話し合いの場では彼らと意見が合わないこともあるが、北見氏は「どこまで許容できるのか」というチャレンジも含めて「多様性」を感じているという。他の企業もぜひ行うべきだと述べた。
これからの10年にふさわしいキーワードは、やはり「Z世代」だと原田氏はまとめる。
「10年後に社会の中核を担う年齢になっているZ世代に拒絶されるSDGsは、絶対に根付かないと思います。彼らが中心。世界で見れば最大人口。だからぜひ、企業はZ世代と手を取り合って、彼らの意識を高めつつ、彼らの望むSDGsを広めていっていただきたいと思います」(原田氏)
日本企業は、10年後、時代の中核を担うZ世代を巻き込んでいくことは避けられない。それならば、一部ではなく、大多数のZ世代の「本音」に耳を傾けることは決して損ではないはずだ。