SNSデータから見る、就活生に注目される企業の傾向
2021年にNo Companyが発表した「SNSデータから見る学生の注目企業2021」で高いエンゲージメントを獲得した企業には、大きく3つの傾向が見受けられました。

1つ目は「企業の隠さない姿勢や裏側も発信するリアルさ」です。一例ですが、NHKがnote上で番組の作り手や取材に込めた思いなどを発信するNHK取材ノートは、様々な社員さんの視点で取材の裏側や感想が綴られています。堅い企業という印象がある一方で、社員さんの人間味ある発信がTwitter上でポジティブに語られていました。
2つ目は「経営層の発信」です。創業者や事業リーダーにはSNS上で影響力が大きい人も多く、スタートトゥデイやメルカリ、食べチョクを運営するビビッドガーデンなど、経営層の発信が多くのエンゲージメントを獲得しているケースも多く見られました。
3つ目は「企業やブランドの社会性」です。SDGsに関連した発信を行う企業も多く、Z世代の就活生が自分ごと化しやすい文脈も多く存在します。障害を持つアーティストが描くアート作品をプロダクトにして社会に提案するヘラルボニーなど、事業における社会性がエンゲージメントにつながっているケースもありました。
就活シーズンに話題を集めるイシュー
毎年3月の就活解禁シーズンの前後では、SNS上でも就活生のインサイトが顕在化しやすい時期です。コロナ禍での就職活動は3年目となり、スタンダードになりつつあるとはいえ、学生が抱える不安な要素はまだまだ多いでしょう。
2022年2月頃にSNS上でエンゲージメントしていた学生の不安要素として「面接やインターンでの服装」「ハラスメントに関わる質問」「就活に対しての向き合い方」が挙げられます。働き方やキャリア観が多様化する中「どう就活に向き合うべきか?」という問いは、今の時代を生きる就活生にとって、特に大きなイシューであることは容易に想像できます。
新型コロナウイルスの影響を受ける前は、「個の時代」や「好きを仕事に」といった価値観に共感する学生が、SNSデータからも多く見られました。しかし、ここ2年ではそうしたメッセージを発信するような企業や記事のエンゲージメントは減少傾向にあり、コロナ禍で就活イシューが大きく変わってきていることを示しています。
そんな就活生の不安に対して、ソニーグループは「学生が自分らしさを発揮できる面接のために何ができるか?」を考え、採用ムービーを制作する裏側を公開。デジタルハリウッド大学は顔写真・性別選択なし、落ちない一次面接など透明性の高い採用活動を実現するための採用ポリシーを公開し、注目を集めました。
このページでは、就活生が興味を持つ企業の特徴、就活シーズンに生まれやすいイシューを紹介しました。最後のページでは、就活を起点に企業・ブランドのコミュニケーションを展開する事例、就活をきっかけに企業・ブランドに興味を持ってもらう方法を紹介します。