2021年顧客数が300%成長 Adobe Experence Cloudが実現する「体験」価値
続いて、Adobeの製品に関する方針説明や発表を行ったのは、デジタルエクスペリエンス事業部門担当 プレジデントのAnil Chakravarthy氏だ。
Narayen氏の話を受け、Chakravarthy氏は、デジタル経済の機会を活用するカギを握るのは「体験」と強調。Adobeにおいては、「体験」にフォーカスすることは新しいものではないが、今年はそれに「拡張性のある形(大規模なパーソナライゼーション)」と「プライバシーの尊重」が加わった。

「今後、成功を左右する新しい基準に、『大規模なパーソナライゼーションを実現できる能力があるか否か』が加わる。オンライン、オフライン、そして没入型体験も含むあらゆるチャネルで、すべての顧客に、リアルタイムに適切な体験を提供する――これをプライバシーを尊重しながら、その度にバリューを提供する形で行わなければならない」(Chakravarthy氏)
そうして構築される相互の信頼性は、ファーストパーティーデータがマーケティングの生命線になっている現在において、非常に重要だとChakravarthy氏。
Adobe Experence Cloudは、そのようなマーケティング活動を支えるものとなる。Adobeは、2019年にそれまでの「Adobe Marketing Cloud」を改名し、体験(Experience)へのフォーカスを示したが、その成果は出ているようだ。Chakravarthy氏は、「Fortune100(グローバル企業の総収入ランキングトップ100)の実に4分の3の企業が利用している」「2021年は顧客が300%増加した」と胸を張った。
機能強化の中心は「パーソナライズ」「コンテンツ連携」「カスタマージャーニー強化」の3分野
Adobe Summitでは、そのAdobe Experience Cloudの強化に関する発表が多数あった。以下は、Chakravarthy氏が「パーソナライズ」「コンテンツベロシティ」「シームレスなカスタマージャーニー」の3つの分野で紹介した機能強化の一部である。
パーソナライズ
・Adobe Real-Time Customer Data Platform(CDP)とAdobe Targetの統合が可能に:顧客に関するインサイトを瞬時に分析し、その上でウェブサイトやアプリ内のパーソナライズを図ることができるようになる。
・Adobe Real-Time CDP Connection:Adobe Experience Platform Edge Networkの分散型サーバーを利用してリアルタイムのパフォーマンスが得られる。2021年末時点で1日当たり1,650億コールのパフォーマンスを実現している、とChakravarthy氏。
・Adobe Real-Time CDP B2B EditionとAdobeのAIエンジンであるAdobe Senseiの統合:リードやアカウントのスコアリングを予測し、潜在顧客などの購入可能性を割り出すことが可能になる。
・Adobe Experience ManagerとAdobe Analyticsの統合をさらに強化。
コンテンツベロシティ
・Adobe Workfront、Adobe Creative Cloud Enterprise Edition、Adobe Experience Manager Assetsの統合:クリエイティブ部門とマーケティング部門が密に連携して高速かつ拡張性のある形でコンテンツの制作から配信までをエンドツーエンドで強化できる。
・Adobe Experience ManagerとAdobe Senseiの統合:スマートタグの適用、画像の切り抜きなどの処理を実行。素早くコンテンツを作成、再利用できる。
シームレスなカスタマージャーニー
・Adobe Journey Optimizerの強化:電子メール、SMS、プッシュ通知などの体験を通じたオムニチャネルジャーニーを適切なタイミングでパーソナライズ可能に。
・Adobe Marketo EngageでのDynamic Chat:最適なチャットコンテンツをレコメンドして、顧客をパーソナライズされた会話に導く。