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MarkeZine Day 2022 Spring

「お客様にとってわかりやすいか?」を繰り返し想像した。ファミリーマート「ファミマル」誕生の舞台裏

 ファミリーマートは2021年10月、新しいプライベートブランド「ファミマル」を発表。リニューアル以降、既存店舗の売上は好調に推移しているという。3月10日に開催されたMarkeZine Day 2022 Springに、ファミリーマート ファミマルブランドマネージャーの柘植幹子氏と、ともにプロジェクトをリードしたThe Breakthrough Company GOの小川貴之氏が登壇し、新ブランド発足の舞台裏についてそれぞれの視点で語った。

来店動機となるプライベートブランドを生み出したい

 ファミリーマートは2021年10月に新しいプライベートブランド「ファミマル」を発表。看板商品もリニューアルして発売した。リニューアル後、たとえば「じゅわっと肉汁!!!鉄板焼ハンバーグ」の2021年11月売上は伸び率約150%を記録し(プレスリリース)、店舗全体の売上も好調に推移している。

 ファミリーマートは以前から、「ファミリーマートコレクション」「お母さん食堂」などのプライベートブランドを展開していた。しかしそこには複数の課題があったと、同社 ファミマルブランドマネージャーの柘植氏は明かす。

 「コンビニにとってプライベートブランドは重要な位置づけで、一つひとつの商品もこだわりを持って開発してきました。しかしその魅力が伝わり切っておらず、来店の動機づけになっていないことが一番の課題でした。また、従来のブランドはいずれも、『おいしさ』『安全』『安心』という要素を共通して持っており、それならば一つのブランドに統合したほうがお客様にとってわかりやすいのではないかと考え、新たなブランドを立ち上げることになりました」(柘植氏)

株式会社ファミリーマート 商品本部 商品業務部 ファミマルブランドマネジャー 柘植 幹子氏
株式会社ファミリーマート 商品本部 商品業務部 ファミマルブランドマネジャー 柘植 幹子氏

 そうして生まれたのが今回のファミマルだ。ファミリーマートのブランドだということがすぐわかるよう、ロゴは青と緑のコーポレートカラーにし、「ファミマ」と「おいしい◎うれしい◎あんしん◎」の「マル」を組み合わせたネーミングにした。また、ファミリーマートが自信を持ってお薦めするクオリティだということを顧客にしっかり伝えるため、“二重丸”をロゴに使用。あらゆる年代の人に理解してもらいたいという思いから、スマイルマークを採用した。

講演資料より
講演資料より

社内外に価値や魅力をどう伝えるか?

 ファミマルを立ち上げるにあたり最初に取り組んだのが、その価値や魅力を伝える活動だ。ここでは、社内向け・社外向けにそれぞれメッセージを作り、展開したという

講演資料より
講演資料より

 まず社内向けには、ブランドの価値基準を言語化。具体的には「ファミリークオリティ」をブランドコンセプトにし、「大切な家族に安心してお薦めできる品質と安全性」「お子様から高齢者まで、誰にでもわかりやすい伝え方を目指す」という方針を示した。

 「多くの社員、スタッフ、関係会社が関わるプライベートブランドだからこそ、価値を明確にすることが必要だと考えました。現在は、生産・流通だけでなく、広告展開や売り場作りもすべて、この考え方に基づいて行うようにしています」(柘植氏)

 一方で、社外、つまり顧客向けには「おいしい◎うれしい◎あんしん◎」をキーワードとし、魅力を伝えていくことにした。「おいしい」は原材料や製法へのこだわり、「うれしい」は自分の家族にも自信を持ってお薦めできる品質・価格の商品を提供すること、「あんしん」は製造工程はもちろん環境へも配慮した商品作りをしていくという姿勢を示している。

講演資料より
講演資料より

ユーザーの体験を起点にデザインを開発

 続いてThe Breakthrough Company GOの小川氏が、パッケージ制作を中心としたデザイン面での考え方について説明した。今回実現を目指したのは、UX発想のブランディングだったという。

 「ブランディングにおいては、デザイナーの視覚を起点にデザインを開発していくことが多いと思います。たとえば色や書体を決めたり、それらの運用のルールを決めたりすることで、統一した見た目を作り、印象を強くしていくといったことです。これに対し今回ファミマルは、ユーザーの体験を起点にデザインを開発しようと決めました。もちろんカラーや書体について最低限のレギュレーションは決めましたが、店舗を訪れる顧客の視点や店頭で働くスタッフの視点、そういったいろんな人の視点を想像しながら作っていくということを大切にしました」(小川氏)

講演資料より
講演資料より

 実際に小川氏は、全国各地のファミリーマート店舗に通い、棚の様子やそこで商品を陳列するスタッフ、購入する顧客の様子を観察し、改善したほうが良い点などを洗い出していったそうだ。さらに、コンビニには身長の高い人も低い人も、視力が低い人、色覚特性の人なども訪れる。だからこそ、誰にとっても楽しくてわかりやすいデザインであることを心掛けたという。

 「おしゃれで目立つことよりも、数千点の商品が並ぶ店頭で、お客様にとって選びやすく、店舗スタッフにとっては陳列しやすく、その上で商品の『おいしい、うれしい、あんしん』がしっかりと伝わることを重視しました」(小川氏)

The Breakthrough Company GO Head of Art 小川 貴之氏
The Breakthrough Company GO Head of Art 小川 貴之氏

 この方針を体現するため、各商品について必ず「モック」と呼ばれる原寸大のパッケージを制作。それをファミリーマート本社内の模擬店で棚に並べて制作を進めた。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/05/13 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38712

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