「マニュアルを読まない人もいる」と考えて対応を
古島:続いて、3つ目のマーケ施策の企画・実行のポイントについて伺えればと思います。私もいつも追い込まれていますので、興味深いテーマです。
富家:企画にも実行にもツールを使える人が必要だと思います。特にMAを活用すると、セミナー開催の時にページを作ったりメールを送ったりと、付帯業務がとても多いですよね。わかりやすいマニュアルを用意して、誰でもできる環境を整えました。
大事なのは、マニュアルは操作と運用の2軸で用意することです。操作マニュアルは単純にメールの作り方や送り方などで、運用マニュアルはウェビナーを実施する際の具体的なメール設定の仕方などを盛り込んでいます。
もうひとつはMAを「使えない」という人が現れた時のために、社内で問い合わせ窓口を設けています。基本的に「操作がわからないので助けてください」という人は、マニュアルを読んでいません。マニュアルを用意することに意味がないのではなく、その人達をカバーする体制づくりも2段構えで行うことです。問い合わせにはきちんと回答し、マニュアルのページも案内して活用を勧めるコミュニケーションがスケーリングの際には大切です。あとは勉強会などで教育、ボトムアップも図ります。
古島:チームの立ち上げ当初からそれを見越されていたのですか?
富家:いいえ。2年目が終わり、マーケティング組織が5人から少しずつ増えて始めたタイミングで取り組みました。丁度、コロナ禍になったタイミングでもあり、Webからのリードが急激に増えて、手が回らなくなってから対策しました。
パートナー企業に上手に力を借りるコツ
富家:パートナー企業の力を借りることも非常に大事ですね。その際は、ポイントが2つあります。1つ目は、パートナー任せだと上手くいかないと覚悟を決めることです。もちろん、自社でできないことをしてくれるのがパートナー企業です。それでも、任せっぱなしはいけません。何をお願いするか、戦略や仕様に対する意志をきちんと持ちましょう。2つ目は、依頼内容とパートナー企業の強みや得意が合致しているのかを見極めることです。意外と、パートナー企業が得意ではないことを頼んでしまっていて、結果的にうまくいってない! みたいなことが発生していることもあります。
古島:事業会社がすべてを内製でやるのは難しいですから、パートナー企業は大きな存在ですよね。パートナー選びやその強みを見つけるのは、発注経験が少ないと難しいですが、コツはありますか?
富家:選べないときは、相手よりも自分側に課題があることが多いです。依頼内容が抽象的だったり、本当は1,000万円かかることを100万円でできないかという話をしていたりすることがあるので。
依頼内容が適切かを判断するには、いろいろなベンダーさんやパートナーさんとお話をして、相場観を見極めるのがおすすめです。また、情報を求める相談先は社外の人がいいですね。「それならこういう系のパートナーさんに依頼したほうがいいよ」など示唆を得られます。フラットな立場にある様々な視点からの意見を求めるといいですよ。
古島:社内で実績があるところに頼みがちですが、客観的な意見を聞く必要があるんですね。ここまで、様々な示唆をいただけました。最後にこれから組織を率いる方々へメッセージをお願いします。
富家:組織の立ち上げ時にも、スケールさせていく時にも、一番大事なのは、マーケティング組織として、どんな事業貢献を宣言するかだと考えています。そして、それを数字で報告できる仕組みと運用を整えていくこと。あとは事業貢献にコミットする宣言、勇気ですね。
また、周囲からマーケティングに対する理解を得られていないと悩まれる方は、説明責任を果たせているかを振り返ってみてください。私も翻ってみると、そこが反省すべき点でした。マーケティングはとても大変な仕事ですが、ぜひ一緒に頑張りましょう!
古島:私も説明責任を果たすことを胸に刻んでいきます。ありがとうございました。