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ヒットの裏にマーケあり

「人の話は聞くな!?」ヒット連発編集者・佐渡島庸平氏に聞く売れるマンガの作り方

ヒットする作品作りに大切なこととは?

佐渡島:よくインタビューで販促活動として『ドラゴン桜』は参考書の隣に、『宇宙兄弟』は美容室に置いてもらったというのが使われていますが、それは100やったうちの1の施策でしかありません。

 ヒットする作品作りに大切なのは、何をするかというよりも作家のためにやれることをすべてやる姿勢が大事だと思っています。作家と会っていないときに、作家のことをどれだけ考えられるか。それで考えていると自然と何かしようかなと私から率先して資料集めを行ったり、書店に毎日足を運んで様子を共有したりと体が動くんです。

 そんな私を見て、作家が「もっとおもしろいストーリーにしよう」ってがんばってくれて、まずは作品自体が良くなる。さらに、その様子を見ていた周囲の方にもドミノ倒しみたいに影響していきます。

 たとえば、書店でも「何度も連絡をくれる佐渡島さんの本だから」と、ちょっと目立つように並べてくれたり、販売部の人も「あれだけがんばっていてこれだけ減っているということは、重版をかけても大丈夫かもな」と編集長に話をしてくれたりする。そういう効果が重なって重版につながる、表紙を飾れるようになるところにつながっていくんです。

最終的には多動力×やり切り力が大事

高橋:1つひとつの行動は小さなものでも、できることをすべてやるくらいの行動力が作家の方や周囲の方のモチベーションアップにつながって、相乗効果を生んだ結果、売れる作品になっていったんですね。

 最近は「多動」という言葉が1つのキーワードになっていますが、まさにそれだなと思いました。

佐渡島:元々動きたがる性格で、じっくり考えて行動するより、たくさん試してしっくりくるものを残すタイプではありますね。それに、編集者って売れるまではとにかく暇なんですよ(笑)。だから作品や作家のことを考える時間があって、自然と何かをしようと思えるというのもあります。

 売れてきたら丁寧に戦略を練る必要があるけれど、売れていないときは誰も知らないからこそ、思い付いたことをどんどん行動に移せるんです。事業計画がないスタートアップみたいなものですね。

高橋:確かに、立ち上げ期のスタートアップに似ていますね(笑)。私もこれまで3つの事業を立ち上げましたが、最初のころは思い付くことに優先度を付けて、とにかく行動していました。その後は結果的にグロースにつながったものを残していく。

 ヒット作にするための戦略を立てることはもちろん大切ですが、結局は多動力×やり切り力が大事ということなんでしょうね。

ここにマーケあり!

・ヒットの裏には、編集者としてやれることはすべてやるという「多動力」と、そこから生まれるヒットの芽を圧倒的「やり切り力」で推し進めるというプロフェッショナルとしての姿がありました。

・また、作品や作者を信じることへの根拠として、自己体験を含め顧客ニーズを基に考えていること。数多く応募がある作品のうち、信じられるものを取捨選択していく目線自体がしっかりとマーケットでヒットする「顧客がいること」を重要視しています。

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アイデアで大事なのは思考法より無駄話

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/25 08:30 https://markezine.jp/article/detail/38794

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