他のソリューションとの連携でリモート接客の幅は広がる
──当初、リモート接客で想定されていた活用方法と、実際の場面では変化してきた点はありますか?
上野山:今新たに出てきているニーズとしては「無人店舗」があります。地方などの店舗を基本的に無人にし、監視と接客を1ヵ所から行うことができるのではないかと考えています。ここで課題となるのは「決済」と「商品の受け渡し」ですが、決済は昨今、あらゆる手段があり、その場でスマホ決済もできますし、受け渡しも、たとえばコインロッカーを遠隔で開けることができれば十分実現可能です。
監視カメラやスマートロッカーの会社様と連携することで、新たなソリューションがまた生まれてくるのではないかと画策しています。これらは、当初の構想とは変わってきたところです。
今後は、オンラインの技術を店頭に持ち込むことでDXを図り、店頭での販売促進とPDCAが回るソリューションとして強化していきたいと思っています。店頭に来るまでの誘導の仕組みから、店頭ならではのお声がけのタイミング、手続きの遠隔対応などを含めた、「集客から接客まですべてをオンラインで効率的に行える店頭DXソリューション」というイメージをしています。
今、時代の潮流として、「モノを売らない店舗」が出てきています。リアルの特徴は、実際の商品に触れられることですが、モノを置くだけではなく、DXソリューションをうまく組み合わせることが重要です。上手く活用することで、小さな場所や商業施設の一角を借りるだけでも、十分に自社商品を紹介できる場にすることができます。
D2Cであれば、ECサイトのQRコードを置いておくことで自然に購入の流れを作れます。リアルの場では商品を体験して、購入はインターネットで、という形をより実現しやすくなると思います。
定期誌『MarkeZine』特集76号:リテール最新動向
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第7回:リテールテックで店頭体験は進化する──量販店などで導入広がる「リモート接客」の可能性(本記事)
