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データで読み解く、ポストCookie時代のマーケティング

マーケターはポストCookieをどう捉えているか?調査結果から見えてきた、一般ユーザーとの意識の差

 本連載ではこれまで、Cookie規制に関する背景や、グローバルプラットフォーマーなどが提唱するポストCookieの取り組みについてお話ししてきました。最終回となる今回は、デジタルマーケターの皆様に回答いただいたアンケート結果をもとに、ポストCookieの現在地や、パーソナルデータ提供に関する一般ネットユーザーとの意識差について可視化していきたいと思います。アンケートにご協力いただいた方には、この場をお借りして御礼を申し上げます。アンケート結果は、回答者(デジタルマーケター)の皆様の所属会社を「広告会社」「事業会社」「メディア」「テクノロジーベンダー・コンサルティング」「その他」と大きく分類し、データを比較することで、業界ごとの事情も明らかにしてみたいと思います。

連載:データで読み解く、ポストCookie時代のマーケティング

第1回:世代間で異なるパーソナライズ広告への意識 データで読み解く、Cookie規制とプライバシー意識の現状
第2回:Google、Apple、Meta…グローバルプラットフォーマー各社のポストCookie対応
第3回:マーケターはポストCookieをどう捉えているか?調査結果から見えてきた、一般ユーザーとの意識の差(本記事)

ポストCookie時代のユーザー識別Keyは「メールアドレス」「ファーストパーティCookie」がトップ2

 まず、デジタルマーケターの皆さんに、ポストCookie時代における「デジタルマーケティングのユーザー識別情報Keyになると思うもの」を尋ねました。すると最も多かった回答は「メールアドレス」で63.0%、次いで「ファーストパーティCookie」が57.5%で、この2つのスコアが他よりも突出し、ポストCookie時代の識別Keyとして考えているデジタルマーケターが多いことがわかりました。

ポストCookie時代、「ユーザー識別Key」となるものは?(回答者:デジタルマーケター127名/複数回答)
ポストCookie時代、「ユーザー識別Key」となるものは?
(回答者:デジタルマーケター127名/複数回答)

 この結果を、デジタルマーケターが所属する業界別に分解してみたところ、大変興味深い結果が得られました。

 事業会社、メディア、ITテクノロジーベンダー・コンサルティングは、1位が「メールアドレス」、2位が「ファーストパーティCookie」という順です。事業会社やメディアは、顧客のメールアドレスを保有しているケースが多いと想定されるため、納得の結果だと思います。

 一方、広告会社だけは1位と2位の順番が他の業界と入れ替わっており、1位が「ファーストパーティCookie」と、2位が「メールアドレス」でした。これは、ユーザーのパーソナルデータを保有していることが多い事業会社やメディアに比べ、広告会社自身ではデータを保有していないケースが多いために起きた逆転現象だと考えられます。

画像を説明するテキストなくても可
<業界別>ポストCookie時代、「ユーザー識別Key」となるものは?上位10
(回答者:デジタルマーケター127名/複数回答)

※クリックすると拡大します

 3位以降を見てみると、事業会社は「電話番号」「マイナンバー」「氏名」「保険証番号」などが他の業界よりもスコアが高く、“個人情報”を使っていこうという傾向が強く出ています。

 また、メディアは「クレジットカード番号」が業界中トップでした。ECサイトを持つメディアはクレジットカード番号データを保有しているため、ユーザー識別情報Keyとしての活用を検討されているものと推測します。既に国内外では、クレジットカード決済データを活用したマーケティングデータや広告配信ビジネスを行っている企業がありますので、そういた情報を既に認知され参考にしているのかもしれません。

ポストCookie時代のソリューション認知率はどれくらいか?

 次に、ポストCookie時代の現在地を可視化するため、デジタルマーケティングに関連したキーワードの認知率を調査したところ、認知率の高い順に、「IDFA/ADID」68.5%、「ITP(Apple)」66.1%、「コンテキストターゲティング(Criteo/GumGumなど)」54.3%と続き、これらは半数を超える認知率でした。

デジタルマーケティング関連キーワードの認知率 上位10(回答者:デジタルマーケター127名/複数回答)

デジタルマーケティング関連キーワードの認知率 上位10

(回答者:デジタルマーケター127名/複数回答)

 業界別に見ていくと、より傾向が鮮明になりました。

 広告会社は全体的に認知率のスコアが高く、事業会社は低くなっています。これは、広告会社が事業会社やメディアに啓蒙や提案をしていく立場ということもあるため、妥当な結果ではないでしょうか。事業会社は、広告会社やコンサルティング会社から提案を受けて採用するという背景からか、まだ具体的な検討に至る段階ではないことが推察されます。

 ITテクノロジーベンダー・コンサルティング業界も認知率のスコアが全体的に高めですが、業界特性に応じた広告領域だけではないデジタルマーケティング領域のキーワード、「FingerPrint」「CMP」「確率論的モデリング/マッチング」といった分野で、広告会社よりも高い点が特徴的です。

<業界別>デジタルマーケティング関連キーワードの認知率 上位15(回答者:デジタルマーケター127名/複数回答)

<業界別>デジタルマーケティング関連キーワードの認知率 上位15

(回答者:デジタルマーケター127名/複数回答)

 また、本稿にデータは掲載していませんが、これらのキーワードの施策について「検討段階にまで至っているか?」という問いの結果にも触れておきます。広告会社は「IDFA/ADID」「コンテキストターゲティング」が半数超、ITテクノロジーベンダー・コンサルティングは「IDFA/ADID」が半数超という結果で、他の業界はいずれもまだスコアが低く、今後の動向について様子見の状況がうかがえました。

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この記事の著者

斉藤 司(サイトウ ツカサ)

株式会社マクロミル 執行役員/データビジネスデザイン本部 本部長

元放送作家。デジタルアドバタイジング・コンソーシアム株式会社、AmericaOnline(現 Verizon Media )、C Channel 株式会社を経て2017 年にマクロミルに入社。デジタルマーケティング部事業部長を経て、現在は執行役員...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/05/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/38903

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