デジタルマーケターと一般ユーザー、意識の違いは?
さて、ここまではデータを使う側であるデジタルマーケターへのアンケート結果を見てきましたが、最後にデータを提供する側である一般ネットユーザーへのアンケート結果と比較しながら、両者の意識差を見ていきたいと思います。この比較の目的は、双方である程度意識のバランスが取れていないと、データ提供に拒絶感を持たれてしまうのではないか……という危機感から、現在地を明らかにしたいと考えたためです。
一般ネットユーザーのアンケートには、弊社の消費者パネル(マクロミルモニタ会員)3,000人に協力してもらい、デジタルマーケター124人には一般生活者の立場から回答してもらいました。結果を見ていきましょう。
「自身の様々なパーソナルデータを提供することへの不安感」については、デジタルマーケターよりも一般ネットユーザーの方が、全体的に不安感が高くなっています。一般ネットユーザーについては、不安感が特に高いものは「Webサイトへのアクセス履歴」「商品等の購買履歴」「位置情報・行動履歴」「年代」でした。
反対に、デジタルマーケターよりも一般ユーザーの方が、不安が小さかったものが、「病歴・病状」です。最近では、健康診断データの提供で保険料が安くなるサービスや、無料で健康提案をしてくれるサービスなどもあり、意外と提供に慣れているのかもしれません。
この結果についてどう感じられたでしょうか。このような、デジタルマーケターと一般層との間にある差異というのについては、私も含めたデジタルマーケター皆が気を付けなければならないポイントだと思います。データ慣れしている私たちがそれを理解せずコミュニケーションを行うと、パーソナルデータを提供していただく側に不安を与えてしまうといったことも考えられると思います。

<一般層とデジタルマーケターの意識差>提供に不安を感じるパーソナルデータは?
(回答者:一般ネットユーザー3,000名・デジタルマーケター127名/複数回答)
最後に
全3回にわたって、Cookieの規制に関する背景や、グローバルプラットフォーマーなどが提唱するポストCookieの取り組み、そしてデジタルマーケティングに携わる方々のCookie規制や対応の現在地、そしてパーソナルデータ提供に対する一般ネットユーザーとの意識差を見てきました。
そもそもCookie規制に至った背景はなんだったでしょうか? ユーザーのプライバシー保護です。先ほどのアンケート結果のように、我々デジタルマーケターの多くは技術の発展により更なるマーケティングの進化があると考えていますし、その技術を創り出している方もいるかと思います。しかし、それを活用していく際には、一般の方との意識差が生じない、プライバシー意識に配慮したものでは無ければなりません。日々の仕事の中で忘れないよう、定期的に立ち止まり、考えていかなければならない課題だと感じました。皆さんはいかがだったでしょうか?
連載:データで読み解く、ポストCookie時代のマーケティング
第1回:世代間で異なるパーソナライズ広告への意識 データで読み解く、Cookie規制とプライバシー意識の現状
第2回:Google、Apple、Meta…グローバルプラットフォーマー各社のポストCookie対応
第3回:マーケターはポストCookieをどう捉えているか?調査結果から見えてきた、一般ユーザーとの意識の差(本記事)