※本記事は、2022年5月25日刊行の定期誌『MarkeZine』77号に掲載したものです。
2021年1月、全体のハブとなる「デジタル本部」が新設
──室元さんは、デジタルマーケティング黎明期の頃から、サントリーのデジタル活用とそれを実行するための組織作り、人材育成に取り組まれてきました。
はい、私がデジタルの領域に関わるようになったのは2000年4月からです。それまでは宣伝部でイベントの企画開催を、また5年ほど飲食店向けの営業にも従事していました。2000年というと、まだまだインターネット自体が黎明期だったような頃です。
当時まず行ったのは、サントリーのホームページの立ち上げでした。それから、新時代に向けて広報部でのお客様とのコミュニケーション基盤の確立、ビジネス活用のR&D、テレビ広告のROI改善、AmazonでのEC取引の開始とそれにともなうシステム・営業体制の整備など、デジタル活用に向けたいろいろな取り組みをしてきました。この数年は、全社のデジタル関連の組織を統括して見ており、デジタル人材の育成はその時々の場所で試行錯誤しながら行ってきました。
──2021年1月に室元さんが本部長を務められているデジタル本部が新設され、2022年1月にデジタルマーケティングとIT、DX戦略の各機能がサントリーホールディングスに統合されました。このデジタル本部は、全社の中でどのような役割を担っているのでしょうか?
基本的なミッションは、各事業会社の事業も含め、サントリー全体のデジタル化を推進していくことです。大きくはDX戦略部、IT戦略部、データ戦略部、デジタルマーケティング部という部署および全社のIT基盤の実装・運用を受け持つサントリーシステムテクノロジーという会社があります。
現在の体制になるまでは、ITはIT部門、デジタルマーケティングはデジタルマーケティング部門と、それぞれ別の機能会社に分かれてしまっていました。ですが、これからは一気通貫に、よりスピーディに動かなければならないということで、デジタル本部にこれらの部隊が集結した形です。たとえば、これまではデジタルマーケティング部が「こういう機能・システムを作ってください」と依頼してIT部門が動いていたのですが、「こういうことが必要になるのでは?」とIT部門が先回りをして提案するなど、お互いに切磋琢磨してデジタル化を推進できる体制が整いつつあります。