期待される検索寄与とエリア配信
2.“ながら視聴”による検索寄与の可視化
「テレビを見ながらスマホを見る」いわゆる“ながら視聴”はCTV広告の場合でも同じで、「CTVを視聴しながら、スマホで検索する」というアクションへの寄与が期待できます。
実際に弊社事例で、YouTube(TrueView)においてデバイス以外の配信条件を変えず、スマホ(SP)接触者とCTV接触者でサーチリフト(検索数の伸び)を比較した結果が図3になります。商品名の検索リフトがスマホ対比で1.2倍起きており、これまでのデジタル広告と比べても、広告からの検索につながりやすいことが確認できます。

YouTubeの場合、CTVのログインIDとスマホのログインIDを突合することで、広告接触後の行動(検索やサイト訪問、Web上での購買など)を計測しています。その他にも、検索行動ではないですが、The Trade Deskの場合は家庭内のインターネットへの接続状況をもとにマッピングしビュースルーCV(広告接触後のコンバージョン)を計測しており、「CTVを視聴→スマホでアクション」というユーザー行動を可視化することができます。
また、上記の事例では、TVCM素材をそのまま配信していますが、ターゲティングに合わせたクリエイティブの出し分けを行うことで、さらなる検索リフトが期待できます。たとえば、ターゲットをAとBに分けて、それぞれに合わせたメッセージを帯に入れた「TVCM加工素材」を用意するとします。

これらのクリエイティブを用いて、図5のような設計でCTV配信を行えば、検索リフトやブランドリフトを含む計測結果が明らかになります。こうすることで、リーチだけでなく、視聴後の行動ベースの効果検証をターゲット軸・クリエイティブ軸の両軸で行うことが可能です。

こうしたターゲットとクリエイティブの検証をスピーディーに、かつテレビの大画面で行える点も、CTVのメリットの1つと言えます。
3.“商圏内のTVスクリーン”に狙いを定めた広告配信
3点目は、エリアを絞った配信ができる点です。CTVも、PCやスマホと同様に高精度にエリアを把握できるため、都道府県単位はもちろん、商圏に合わせたより細かい粒度でのターゲティング配信が可能です。商圏が明確な場合、商圏外のTVスクリーンへの広告配信を防ぐことができるのはメリットが大きいと思います。

先ほど紹介したターゲットとクリエイティブの検証と同様に、エリアに合わせたクリエイティブをTVスクリーンに配信することができますし、広告の停止・再開もデジタル広告と同じく自由に行うことができます(一部媒体を除く)。
こうした特性を活かして、CTV広告とWeb広告をかけ合わせたエリア限定のキャンペーンを設計することも可能です。オンラインとオフラインの統合マーケティングが叫ばれて久しいですが、CTVの登場でテレビがオンラインメディア化したことで、テレビとスマホの統合が急速に進んでいき、マーケティングコミュニケーションの在り方にも大きな変化が訪れると思われます。
第2回予告:CTV広告~実践編~
第1回は、導入編として「CTV広告市場の全容と期待されるマーケティング価値」について紹介しました。次回は、これからCTV広告にトライされる事業主様、あるいはまだベストプラクティスが見つかっていない事業主様に向けて、「CTV広告実施時のポイント」を弊社の事例を交えながらお伝えしたいと思います。ぜひ、次回もお付き合いください。