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約70年前の財務諸表だけで企業価値を測れるのか?良い会社の定義を変える「統合諸表ver.1.0」とは

 何のために会社を大きくするのか? モノが売れればいいのか? 成長社会の時代では考えられなかったようなことが、真剣に問われるようになっている。世の中の価値観が大きく変わっている今、「企業価値の考え方」「良い会社の定義」にも変化が起きているようだ。電通は、2022年3月、無形資産を可視化する新しいフォーマット「統合諸表ver.1.0」を発表した。これには約70年前に生まれた事業価値測定の方法である「財務諸表」をアップデートする意図もある。本稿では「統合諸表ver.1.0」の開発を主導した電通の小布施典孝氏を取材。「統合諸表ver.1.0」開発の背景、見方・使い方、これから普及させていくにあたり描いているビジョンなどを聞いてきた。

無形資産を可視化する「統合諸表ver.1.0」とは?

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに小布施さんが所属する「Future Creative Center」ついて教えてください。

小布施:私がセンター長を務めるFuture Creative Centerは「企業の未来価値の創造」をミッションとする組織です。現在約80人のメンバーが所属しており、マーケティングとクリエイティブの両方の観点から「企業の飛躍可能性をいかに創造していくか」ということを考えています。

MZ:そのFuture Creative Centerを中心に、電通は企業の無形価値資産を可視化する新しい経営設計図「統合諸表ver.1.0」を開発。2022年3月に「Well-being Initiative」の公式サイトで無料公開されました。この「統合諸表ver.1.0」とは、どのようなものなのでしょうか?

小布施:これまで企業価値は、「どれくらい収益をあげているか」を示す財務諸表で説明されることが一般的でした。これは当然企業やステークホルダーにとって重要なものです。

株式会社電通 Future Creative Center センター長 小布施典孝氏
株式会社電通 Future Creative Center センター長 小布施典孝氏

 しかし、今、別の視点からも企業価値が問われるようになっています。「事業の下支えをする社員が元気か?」「社会をより良くすることに役立っているか?」「地球環境を守り、改善することに貢献できているか?」など、より多様な観点で企業価値が問われるようになってきているのです。

 そこで、財務諸表だけでは読み解けない企業の伝えにくかった価値を可視化する新しいフォーマットとして「統合諸表ver.1.0」を開発しました。

価値観の転換期が来ている――「統合諸表」開発の背景

MZ:「統合諸表ver.1.0」の詳細に入る前に、この開発に至った経緯をもう少し詳しくお聞かせ下さい。時代的な背景やそれを受けた企業側のニーズもあったかと思いますが、まずは電通として新たな領域に踏み込む狙いをお話しいただけますか?

小布施:「そもそも価値とは何か?」という話からなんですが、価値があるかないかを判断するのは、送り手ではなく、受け手なんだと思っています。どんなにいいプロダクトやサービスがあっても、受け手が価値だと思わなければ意味がないですよね。なので、「受け手に伝わってはじめて価値になる」というのが私の考えです。人に伝わってこそ価値になるし、いくら良いものがあっても人に伝わらなければ価値にはならない。つまり、価値を創造するときには、人の心がどう動くのかというコミュニケーションの視点が内包されるべきだと思っています。

 これまで我々は、広告代理店として有するコミュニケーションのスキルやナレッジを広告領域に活かしてきました。ですが、そうした受け手の気持ちから発想するコミュニケーション領域のスキルは、広告の領域に限らず色々なところで発揮できるのではないか? これまでとは違う領域でも誰かの役に立てるのではないか? ということから開発したのが、この統合諸表です。

MZ:なるほど。「企業価値を伝えていく」というゴールから遡り、無形資産を価値として可視化しようと考えたわけですね。では、時代的な背景についてはどうでしょうか?

小布施:これに関しては世代差があって、「会社を大きくする」ことのメリットを自分ごと化できない傾向が若い世代を中心に強くなっていることがわかっています。昔は、会社が成長して大きくなれば自分の給料が上がることにもなるし、大きい会社に勤めていること自体が成功の証にもなる、というわかりやすい1つのロールモデルがありました。ですが、いま、「何のために会社を大きくするんだっけ?」ということに疑問を感じている若者が非常に増えているのです。そして、彼らは「自分たちの仕事が社会にどう役立つのか」を切実に求めています。

 働くことへの価値観だけでなく、先進的な生活者においては購買行動の判断軸も変わってきていますよね。社会貢献している会社のプロダクトを買いたい、サービスを使いたいという人が増えていて、価値観の大きな転換期が来ているように思います。そうした観点から、経済学的にもアダム・スミスの「神の見えざる手」という考え方そのもの、つまり、個人が自分の利益を追求さえしていれば、結果として社会は良くなる、という考え方に疑問符が付き始めているというのが、昨今の時代背景だと認識しています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/22 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39094

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