あらゆるプロダクトがエンドツーエンドの関係に変化
Amplitudeは2012年に創業、米サンフランシスコを拠点とするプロダクトアナリティクスのベンダーだ。2021年にはダイレクトリスティング(直接上場)方式でNasdaq市場に上場を果たしている。Atlassian(ソフトウェア)、Square(決済)、Twitter、Under Armourをはじめ、1,700社の顧客を抱える。
5月25日の基調講演で、共同創業者兼CEOのSpenser Skates氏は、「プロダクト」の変化から市場の状況を説明する。
かつてのプロダクトは、「車」「ハンバーガー」など物理的な製品が中心で、顧客がそれを購入すると顧客と企業との関係は基本的には終了。更新や買い替えで再び企業と顧客の関係が生まれていた。一方、現在プロダクトは物理的なモノだけでなく、Web上にあるサービスも含まれるようになった。そして物理的なものを含めあらゆるプロダクトが、購入前の検討段階から購入、購入後も続くエンドツーエンドの体験に変わっている。
さまざまな接点から、業務改善につながる指標を提供
Skates氏はさらに、データの変化も指摘する。それまでは購入時のデータしかなかったものが、さまざまな接点からデータを収集することが技術的に可能になった。
データへのアクセスという点も変化している。これまでデータにアクセスするためにはSQLなどの専門知識が必要だったが、そのような知識がなくてもユーザーは自分が見たいデータにアクセスできる世界へと向かっている。
企業はダウンロード数、Webサイトの訪問者などの数はわかっている。しかしSkates氏はこれらを、実際の業務改善につながることのない指標を意味する「バニティメトリクス」とする。肝心なのは「何が機能していて、何が機能していないのか、顧客はどこにイライラを感じているのか、どこでつまづいて次のステップに進んでいないのか、何を気に入っていて、気に入っていないものは何か」などであり、これらをAmplitudeを使って知ることができるという。
AmplitudeのプロダクトアナリティクスではユーザーIDと行動を結びつける。これにより、「購入の前から購入した後まで、カスタマージャーニーにおけるすべての顧客の状況を知ることができる」とSkates氏。このような行動分析を中心とした自社技術を「デジタル最適化システム」と位置付ける。