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メタバースビッグバン、次々に生まれる世界をどう活用すべきか?

マーケティング活用から考えるメタバース、7つの構成レイヤーと米国3大プラットフォーム事例

海外でのメタバースのマーケティング活用

 海外のメタバースといえば、GAFAが取り組む「meta」「microsoft mesh」だが、共に現在は、VRゴーグルを必要とするため、まだ一般的なマーケティングに活用できる段階には来ていないだろう。

 まずはそれよりも先行する「The Sandbox」「Decentraland」「Roblox」という3つのメタバースのマーケティング活用について見ていく。

The Sandbox

 「The Sandbox」は、NFTをベースとし仮想空間上の土地(LANDと呼ばれる)でゲーム自体や、ゲームで使えるキャラクターを作成し、自らもプレイすることができるメタバースだ。2021年11月には、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2を中心とした投資家から約100億円を調達している。このメタバースでは、自身が所有した土地でのゲームや体験を収益化できる。

 有名になったきっかけは、大手企業が「The Sandbox」内で仮想空間の大口の土地購入を始めたことだ。2021年11月に、バーチャルヨットが約7,400万円で落札され、12月に仮想の土地が、これまでに公表されている仮想不動産取引の中で最大の約4億8,000万円で落札された。また、世界最大級のコンサルファームのPwC子会社のPwC香港も仮想不動産を購入し、この頃から世界中でメタバースを牽引する存在となっている。

 その後、2022年2月にワーナーミュージックが音楽テーマパーク構築を発表、さらには2022年3月英大手銀行HSBCも仮想土地購入に進出している。

 不動産、音楽、金融の大手企業がNFTをベースとした取引で仮想不動産価値の上昇による収益や新しい顧客層の獲得を目的として進出、提携を進めているのが現状だ。

Decentraland

 次に「Decentraland」だが、こちらも「The Sandbox」同様、NFTベースのメタバースであり、Jon Radoff氏の表現だと「クリエイターエコノミー」のレイヤーも同様に併せ持つ。

 話題になったきっかけは、「MetaFest 2022」というイベントだ。これは、2021年末に米タイムズスクエアを所有する不動産会社ジェームズタウン社がDecentraland内にて開催したイベントで、仮想空間上に26階建てのビル「ワン・タイムズスクエア」を構築し、NFTアートギャラリーや音楽パフォーマンスを展開したものである。年越しのニューヨークタイムズスクエア前でのカウントダウンイベントのメタバース版だと考えるとイメージしやすい。

 「Decentraland」が不動産、NFT、音楽等のジャンルと絡めたメタバースとしてのイメージを確立させた機会と言える。

 その後、2022年1月には、サムスンアメリカによるバーチャルストアの開設やMetaverse Groupによる建築コンテストの開催、米大手会計事務所のバーチャルオフィスが開設されるとともに、スポーツ領域ではテニス全豪オープンがイベント会場を開設するなど話題が目白押しだ。

 また、ビール会社のハイネケンが2022年3月に史上初のバーチャルビール「ハイネケン シルバー」を発表した。当然メタバース内では、仮想のキャラクターが仮想空間に存在するため、嗅覚・味覚は今のところ「体験」できない。よってビールを味わうことはできないが、逆にメタバースを構成する要素として当たり前の「体験」ができないことが、話題性を提供した。

Roblox

 最後の「Roblox」も前述の2つのメタバース同様に体験、発見、クリエイターエコノミーの要素が盛り込まれている。この「Roblox」がゲームとしての空間を脱却し、メジャーメタバース化したタイミングも今までに紹介した2つのメタバースと同時期だ。2021年10月にパリス・ヒルトンが「Paris World」という仮想空間を公開した。こちらも音楽を楽しめたり、パリスの自宅やセレブなプライベートジェットの体験ができる。

 2021年11月のニュースも「Roblox」のメタバースメジャー化イメージを強めた。スポーツメーカーのNIKEが、「NIKELAND」というバーチャル・テーマパークを開設したのだ。NIKEの本社を元に設計されており、バスケットボールコート、テニスコート等の設備があり、アバターを使って他のプレイヤーとともにゲームを体験できる。またお馴染みのNIKEシューズやアパレル等のアイテムも購入できる仕組みだ。

 このように、2021年終わりから2022年始めにかけて様々な業種の大手企業が「The Sandbox」「Decentraland」「Roblox」でマーケティングの展開を始めている。また、時を同じくしてFacebookが、「Meta Platforms」へ会社名を変更し、メタバースヒートアップが起き始めた。

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企業がメタバースを活用する理由とは

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この記事の著者

山田 輝明(ヤマダ テルアキ)

NRIネットコム株式会社 クラウドテクニカルセンター 副センター長 兼 営業DX推進担当

2009年にNRIネットコムに入社。デジタルマーケティング事業を立ち上げ、特にGoogleアナリティクス、デジタル広告に関するビジネス拡大に注力。2018年にNRIネットコムから一旦退出し、株式会社MeeCapを設立、スタートアッ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39154

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