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イベントレポート

企画で枠を超えるには 「絶メシ」生みの親・畑中翔太氏と、電通のプロデューサー・阿部広太郎氏に聞く

「毒の仕事」から抜け出すためには

廣澤:次は阿部さんのプロフィールと代表的なワークを紹介いただけますか。

阿部:電通の阿部広太郎と申します。配属された人事局から試験を受けてコピーライターになり、2017年よりコンテンツビジネス・デザイン・センターという局で、コピーライター/プロデューサーとしてコンテンツに携わる仕事をしています。

電通 阿部広太郎氏
電通 阿部広太郎氏

阿部:私は今日「企画でキャリアの枠を超えていく」という働き方の話をしたいと思っています。広告の世界には、偉大なコピーライターや著名なCMプランナーの先輩がたくさんいらっしゃいます。駆け出しの頃は「いつになったら自分の番が来るのだろう」と感じていたのですが、この列を自分で1歩はみ出すことにより、順番待ちをしなくてもキャリアを築くことはできると今は考えています。

 かつて、会社の先輩から「仕事は4つに分類できる」と教えてもらったことがありました。

阿部:横軸が仕事の自由度、縦軸が予算の大小を表しています。たとえば予算が大きくて不自由な仕事は「義務の仕事」です。扱い額に比例して関係者も多く、調整に追われてしまう領域でもあります。一方で予算が大きく自由度の高い仕事は、往々にして著名な方たちに相談が舞い込みます。予算が小さくて不自由な仕事は、やればやるほど苦しくなってしまう「毒の仕事」。ただし、取り組むことで耐性がつくワクチンのような効果もあります。

 この4象限において最もチャンスがあるのは、予算が小さく自由度が高い仕事です。世の中には「面白いことをしたい」と思っているものの、誰に相談して良いかわからない人がいます。大事なのは、その人たちに「自分も面白いことをしようと思っている」と手を挙げてつながりに行く姿勢かもしれません。まず行動を起こして右下のエリアに行き、小さくても実現できたことを発信していく。その積み重ねで周囲に少しずつ見つけてもらえると、4象限の右上に行くことができると私は考えています。

自分で自分を指名し、甘太郎に企画書を送付!

阿部:1つ事例をご紹介します。2013年にFacebookで居酒屋「甘太郎」の投稿が僕のタイムラインに流れてきました。「太郎友達求む」という内容で、名前に太郎のつく人が割引の特典を受けられるというキャンペーンの告知でした。僕は名前が広太郎なので、名前を呼びかけてもらえたような、肯定してもらえたような、嬉しい気持ちになったんです。

 ただ同時に「クリエイティブをさらに工夫すれば『いいね!』を押したくなる人がもっと増えるのではないか」とも思いました。太郎当事者としての想いが強いあまり「これはもったいないな」と感じてしまったんです。このもったいなさを誰が拾い上げるのかを考えた時に、コピーライターである自分を自分で指名しました。

 仕事が終わった後にデザインができる友人と集合し、部活のような雰囲気で夜な夜なコピーとビジュアルを制作。甘太郎さんとのツテがなかったため、Facebookの企業アカウントに企画書を送付しました。「企画書が1人歩きする」という表現がありますが、Facebookで送った企画書が役員の方まで届き「やりましょう!」とおっしゃっていただけたのです。

阿部氏が携わった太郎割のポスター
阿部氏が携わった太郎割のポスター

阿部:太郎の当事者として、コピーはいくらでも書けたんです。企画は反響を呼び、政治家の河野太郎さんまで反応してくれたことが本当に嬉しくて。自分の「働く」と「生きる」がつながったような感覚がありました。

 この経験を機に、たとえ先方から依頼されたわけではなくても自ら企画を作り「この企画、どう思いますか?」と会いに行くようになりました。恵比寿でポスター展を開いたり、自分の好きなロックバンドの企画書を作ってレコード会社に持ち込んだり。仕事や活動への想いをSNSなどでコツコツ発信していたところ、会社の先輩からも相談されるようになったんです。4象限の右上にあたる仕事の相談をいただけるようになり、仕事の枠が少しずつ広がっていきました。

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企画立案のポイントは特別視しないこと

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39228

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