マーケターの人材育成も最重要項目として推進
――全社でDX人材の育成に取り組む富士通ですが、マーケティング組織ではどのような取り組みを?
実は、私がジョインした当時、営業や研究者、システムエンジニアなどの育成プログラムはあったのですが、マーケターの育成プログラムはありませんでした。しかし、DXを進めていくに際してマーケティングは必須であり、それを担う人材を育てていくことは非常に重要です。また、社内でマーケターのキャリアアップの道筋がなければ、良い人材が集まってくることもないでしょう。ですので、マーケティング人材の育成は、最重要項目の一つとして取り組みを進めてきました。
具体的には、まずマーケターとしてのロールを定義し、ロールごとにどのようなスキルが必要かをスキルマップとしてまとめました。そしてグローバルマーケティング本部に所属する一人ひとりにセルフアセスメントを行ってもらい、自身のロールに結び付くスキルが現時点で足りているか否かを明らかにしました。そこから自分に足りていないスキルをいつまでに・どのように補っていくか、キャリアディスカッションを行いアクションに落とし込んでいます。
ABMを提唱した組織であるITSMAが提供するグローバルのプログラムにもチャレンジしてもらっており、開始1年目で約100名がその認定を獲得することができています。このように外部の認定プログラムを取り入れることで、社内外でマーケターとしての価値が高まり、社内でもプロジェクトをリードしやすくなっていく。これも人材育成の一つの目的です。
――最後に、目指すマーケティング組織像を教えてください。
社長の時田は、富士通の目指す姿について、「日本企業のレファレンスとなるような企業になりたい。そこから世界へ発信できるものを生み出したい」と話しています。つまり、富士通自身がDX企業となり、その過程で得たこと、学んだことをお客様に提供していく。そうして、世界で勝つことのできる日本企業ひいては日本にしていく。時田の言葉には、そのような意図があります。
これはマーケティング組織においても同様で、私は「日本企業の中で“レファレンス”になるようなマーケティング組織を目指したい」と考えています。そのために、人材育成をはじめ、デジタルを活用したマーケティングやセールスを実践して、そのノウハウをお客様にご提案していく、さらにはお客様にも取り入れてもらう。こういったことを実現していきたいです。
そして、富士通はこれまでも様々な価値を世界中で届けてきました。マーケティングには、それらの価値をきちんとつなげ、お客様へ届けていく“オーケストレーター”としての役割があると思っています。私自身も、また富士通としても、失敗を恐れず、お客様の課題の先にあるものをどんどん提案して、挑戦し続けていきたいですね。