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マーケティングは全社で取り組むべき仕事 ユーザベース・酒居さんに聞く、組織マネジメントの勘所

KPIの変更タイミングは「変化率」で見極めよ

祖谷:組織の成長に合わせてKPIを変えてきたとのことですが、変えるタイミングはどう見極めていますか。急な変更は組織を壊す懸念もありそうです。

酒居:定量と定性、2つの判断視点が必要だと思います。定量的に注視するのは「成約に至るまでの各ステージへの変化率」です。変化率が安定して維持できているかがポイントとなります。

酒居:リードからの商談化率、案件化率、受注化率を見ると、後ろのフェーズになるほど変数が増えるため安定しなくなり、原因も突き止めにくいんです。僕たちは各フェーズの変化率を細分化し、どこにボトルネックがあるのかを可視化してKPIを決めるようにしています。

 マーケはまずインサイドセールスとの間で変化率を安定させるためにコミットし、そこが安定してからフィールドセールスまで範囲を広げていきます。

祖谷:プロセスが未熟な場合は差分が大きくなるので、小さくなるタイミングで判断すると。

酒居:たとえば「有効商談化率60%」という目標に対し、ある月は70%で別の月は40%だったとします。商談化率や案件化率においても変動幅が大きい場合、まずは手前にあたる商談化率の変数に着目して課題を抽出し、変化率を安定させることが大切です。

ネガティブな進捗を意図的に共有する

祖谷:定性的な視点ではどうですか。

酒居:「チーム間の関係性」を見ます。「チーム間で信頼関係が築けているか」「お互いに公平な立場で話ができているか」「うまくいっていない時にほかのチームのせいにしていないか」などの観点でチェック。他責発言が出ている時は、まだ十分に関係性が育っていないと判断します。

 良い関係性をつくるには、対話の機会を増やすことが大切だと思っています。特にコロナの影響でフルリモート化しているため、相手の顔も人柄もわかりづらい。だからこそ、お互いを理解し合う対話の時間を意図的に設けています。

 もう1点、ミーティングでは現状と見込みの共有だけでなく、リソースのキャパシティも共有するようにしています。施策はいくらでも打てるものではないため、有効な施策の中から優先順位をつけて実行していくことが重要です。そこを無理に「頑張ります」と言わせてしまっては、チームが疲弊してしまいます。ポジティブな進捗だけでなく、むしろネガティブな要素を意図的に共有することが大切です。

祖谷:最後に、初心者のBtoBマーケターに向けたメッセージをお願いします。

酒居:僕自身に「BtoBマーケター」という自覚はありません。マーケティングはマーケだけではなく、全社の仕事です。事業の成長を通して、マーケティングのあり方は変わってきます。「マーケだからこれをやらなければならない」という固定観念にとらわれていると、本来の目的を見失いますし、やっている側も楽しくありません。お客様との関係も堅苦しいものになるでしょう。

 僕が動画コンテンツの事業を始めたのは「ユーザー体験はプロダクトに閉じたものではない」という想いからです。インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスと、お客様とのインタラクション全てがユーザー体験にほかなりません。マーケターにはユーザー体験にコミットしながら、お客様との長期的な関係構築を楽しんでほしいと思います。

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この記事の著者

祖谷 考克(ソタニ タカヨシ)

アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長

広告会社にてマーケティング領域全般のプロデュース業務に約15年従事。ブランドマーケティングだけでなく、デジタルコミュニケーション戦略立案、施策最適化など、デジタル領域でのプラニング/プロデュース業務も担う。2013年よりアドビに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39348

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