SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

今日から始めるBtoBマーケティング

マーケティングは全社で取り組むべき仕事 ユーザベース・酒居さんに聞く、組織マネジメントの勘所

自社セミナーの有効商談化率が高い理由

祖谷:リードの数を追求するフェーズから質重視のフェーズへと転換するにあたり、どんな工夫をされましたか。

酒居:最も有効商談化率が高いチャネルを調べました。

祖谷:その有効商談化率はどう計算しますか。

酒居:分母は「商談の全体数」で、分子が「有効商談(パイプライン)の数」です。有効商談化率が高い案件は、その後の成約化率も高いことがわかっています。計算した結果、自社で主催するセミナーが最も効果的だとわかりました。

 なぜセミナーが効果的だったのか。僕たちは「対象とする市場において、課題がまだ顕在化していないためだ」という仮説を立てました。当時はABMの認知度やデータマネジメントのニーズが低く、営業が電話をかけても必要性をなかなか認識してもらえなかったんです。

 そこで「ターゲティングワークショップ(現・ABMワークショップ)」を開き、ターゲティングの重要性をお客様に実感してもらいました。僕たちが解決したいと考えるお客様の課題と、プロダクトが提供する価値を実感してもらうことができれば、自ずと「話を聞いてみようか」となる。徐々に有効商談化率が高くなり、組織の中にマーケティングの意識が定着しました。

マーケの仕事はリードジェンだけじゃない

祖谷:会社の成長にともない、組織体制を大きく変革していますよね。マーケが各事業部を横串で刺すような体制にしたと伺いました。その狙いを教えてください。

酒居:2020年1月から、SPEEDA・FORCAS・INITIALというSaaS事業を統合したマーケティング組織に変わりました。これまで別々に活動していたマーケティングチームを一体化するとともに、子会社や新たに立ち上げた事業も統合したセントラルマーケティング体制をつくっています。

 この組織改革の背景には「非連続な成長を目指したい」という会社の想いがあります。これまでは事業ごとの部分最適でも良かったのですが、会社の成長にともない、複数の事業部が関係するお客様が増えてきました。「ユーザベース共通の世界観がお客様に伝わっていない」と感じる場面も増え、全体最適の基盤を整える必要性が出てきたのです。マーケティングの戦略やノウハウも横断的に共有し、施策の効果を高められるようなりました。

祖谷:お話を聞いていると、日本のBtoB企業によくあるマーケと営業との対立を感じません。営業との円滑なコミュニケーションを取るために工夫していることはありますか。

酒居:リード獲得後の「後工程フェーズ」をマーケのKPIに設定していることでしょうか。マーケの仕事はリードジェネレーションだけでなく、事業をつくることだと思っています。そのためマーケで完結するKPIではなく、インサイドセールスや営業との関係性、さらにはチームの成長フェーズに応じた「商談数」や「案件化数」などを目標として設定するようにしています。

次のページ
KPIの変更タイミングは「変化率」で見極めよ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
今日から始めるBtoBマーケティング連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

祖谷 考克(ソタニ タカヨシ)

アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長

広告会社にてマーケティング領域全般のプロデュース業務に約15年従事。ブランドマーケティングだけでなく、デジタルコミュニケーション戦略立案、施策最適化など、デジタル領域でのプラニング/プロデュース業務も担う。2013年よりアドビに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/07/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39348

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング