凸版印刷は、農産物の生産者と、宿泊施設や介護施設、飲食店など地域の顧客(以下、実需者)を専用のアプリ上でつなぎ、生産情報と需要情報をマッチングするプラットフォーム「ジモノミッケ!」を開発。ユーザビリティと事業性を検証する実証実験を、会津若松市で開始した。
実証実験には、農産物生産者30社と、宿泊施設、介護施設、飲食店、食品加工業者、小売店など30社が参加する。期間は2022年7月11日から9月30日まで。
現在、地方の実需者は、都市部を経由するコストのかかった農産物を購入せざるを得ない。また、生産者も都市部への流通コストを前提にした価格による取引のために高収益化へのシフトが難しい。これらの課題解決を目的に「ジモノミッケ!」が開発された。同プラットフォームにより、生産者と実需者をマッチングし、地域内の供給情報と需要情報を可視化。農産物流通の最適化を目指す。
同プラットフォームでは、生産者は「供給(サプライ)情報」、実需者は「需要(デマンド)情報」をPCやスマートフォンから少ないアクションで登録でき、「入札」や「落札」などマッチングの状況をリアルタイムで確認できる。
マッチング後は、指定日時に専任の配達員が生産者の軒下で農産物を集荷。AIルーティング機能により算出された最適なルートを通って実需者に納品する。無線通信タグを貼付したコンテナによるトレーサビリティ・温度管理ができる仕組みを導入し、安全な物流体制を構築する。
現在、最適な取引相手との自動マッチング機能や、都市OS(※)とデジタル地域通貨との連携機能なども開発中。今後は実証実験を通し、2023年度の事業化を目指す。また、都市OSの導入地域を中心に「ジモノミッケ!」の水平展開を図り、2030年度までに卸売市場など50拠点への導入と、「食農需給マッチングプラットフォーム」関連事業で10億円の売上を目指す。
※ その都市にあるエネルギーや交通機関をはじめ、医療、金融、通信、教育などの膨大なデータを集積・分析し、それらを活用するために自治体や企業、研究機関などが連携するためのプラットフォームのこと。
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