シン・広告元年に備えた施策を
今回紹介する書籍は『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)。著者は、マーケティングアナリストで芝浦工業大学教授の原田曜平氏です。
原田氏は博報堂でマーケティングアナリストとして活動し、2022年4月より現職。若者研究の第一人者であり、「さとり世代」「マイルドヤンキー」「伊達マスク」「Z世代」など、若者世代を表す象徴的なワードを世に広めた方でもあります。
現在、メディアはテレビからネット(スマホ)へと時代が移行しつつあります。このような中、原田氏は2025年を「シン・広告元年」と呼び、近い将来PR戦略のメインターゲットとなる「テレビよりもネット」の若者世代へのビジネスに本気になるべきだと語りました。
また、若者を惹きつけるためにはデジタルネイティブであるZ世代のインサイトを把握し、各種SNSの特徴を理解する必要があると説明しています。では、Z世代の特徴を活かしてどのようにプロモーションを行っていけばいいのでしょうか?
Z世代特有の「7つの特徴」
原田氏によれば、スマホが普及した世界で様々なSNSに触れて育ったZ世代は、「独特の感覚」を持っていると原田氏は述べています。加えて彼ら特有の感覚として以下、7つの特徴を紹介しました。
1.傾聴姿勢:どんな内容も否定せずに耳を傾けてほしい
2.場面欲求:予定に縛られず、フットワーク軽く動きたい
3.告解願望:知人のいない場で悩みを打ち明けたい
4.平成懐古:平成時代=Z世代の青春時代の懐かしさに浸りたい
5.リアルレトロ:わかりやすいレトロをリアルに表現したものがいい
6.アナログ職人:アナログで地味な努力に新鮮味を感じる
7.リアタイ恋愛:リアルタイムで恋愛の進捗の様子を楽しみたい
たとえば2の「場面欲求」では、富士通arrows Be F-04KのCM事例を紹介。内容は、ヘリコプターで現場へ急行する刑事が突然「そばを食べたい」と言い出し、そのままそば屋へ向かうというもの。突拍子もない行動を取る様子は、予定に縛られずフットワーク軽く行動したいというZ世代に共感を生むことができていると述べられていました。
また、5の「リアルレトロ」では、昭和時代風の家族を描いた井村屋のYouTube広告や、バブル期のテイストで統一された広島パルコのCMが掲載。ベタなくらいのレトロ感を描くことで、古さのリアル感が演出されています。今のレトロブームに乗ることで話題化できている事例だと書かれていました。
本書ではZ世代のインサイトの他、Twitter、Instagram、TikTok、YouTubeといった4つのSNSについて、それぞれの特徴を踏まえた戦略とSNSの投稿や広告・動画広告の事例が掲載されています。
また多くの事例がイラストとともに掲載されており、すらすら読みながら学べる一冊となっています。SNSの運用担当者だけでなく、Z世代向けのマーケティング担当者は、同書を手に取ってみてはいかがでしょうか。