定番だが、今も手応えを感じるアプローチ
細田:2つ目は、シンプルですが「一緒に作る、仲間になる」という作り方です。少し前に「toCからwith Cへ」という言葉をよく見聞きしましたが、コンシューマーと一緒に作るというアプローチは、いま非常に有効だと感じています。
これも実際の例とともにご紹介すると、今年の春に『卒業生100万人の答辞』というNTTドコモさんのスペシャルムービーを公開しました。これは、コロナ禍で2年半の学生生活を送った高校生に協力してもらい、「高校生活でどんなことがあったか」「どんなことを思ったか」、彼らの言葉を紡いで卒業式の答辞をみんなで作った企画です。映像では、同じく今年高校を卒業したタレントに答辞を読んでもらい、また高校生のスマホの中に入っていた動画も使わせていただきました。

――本当に高校生と一緒に作られたんですね。
細田:はい。YouTubeの動画広告は一般的にはできるだけ短いものや、動画の冒頭でロゴやメッセージを強調する形がよしとされていますが、このムービーは「高校生が作る・高校生のためのムービー」です。ですので、そういったフォーマットも全部無視して、5分くらいの長尺の動画を制作しました。
そして、YouTubeで公開すると、あっという間に1,200万回まで再生回数が伸びたんです。多少広告も展開したのですが、それでも我々の予想をはるかに上回る再生回数と視聴完了率でした。

細田:もう少しライトな施策の例もあります。日本マクドナルドさんの施策で、「#ティロリチューン」というキャンペーンをTikTok上で展開した事例です。フライドポテトが揚がる時、みなさんおなじみの「ティロリ♪ ティロリ♪」というリズム音が流れますよね。あの音にあわせてダンスをするという、TikTokの企画としては王道の非常にシンプルな仕掛けだったのですが、総再生回数は1億5,000万回を超えました。
このほかにも、ハーゲンダッツで「幸せのハーゲンハートを探そう!」と呼びかける施策もよくウケましたし、「一緒に作る、コラボレーションする」というアプローチには今も強い手応えを感じています。