“半歩”先を行くリサーチのポイント【5~7】
5.建前ではない本音を引き出す
心理学者であるユングは、「潜在意識による認識は、氷山の一角に過ぎず、人間の行動における95%は無意識の状況下で行われている」と述べました。つまり、人は考えるよりも感じて行動しているということです。「意識する」という行為は「考え」という行為につながり、そして人は考えると理屈を語りたがる傾向があるようです。こうなるともう本音とは呼べず、そこは建前や理屈の世界です。
回答者に考えさせない方法としては、画像を使ったコラージュ法などがありますが、一般的な調査についても、選択肢の数やその表現方法を分かりやすくすることで調査の質は変わってくるでしょう。
また、人は誰でも自分にとってマイナスとなるような発言は控えたいもので、これについても本音ではない建前を答えさせてしまう可能性があります。インターネットの特徴が匿名性にあることを考慮すれば、グループインタビューなどに比べれば消費者の本音を引き出しやすい環境にはありますが、それでも回答者の心理状態を考えることが調査の成功には必要となるでしょう。
6.多角的に考える
消費者調査は各設問単位で分析するだけでも、多くの気づきを提示してくれる有効的なマーケティングツールです。ただし、それだけではなく複数の設問から得られる結果を多角的に分析することでさらに見えてくるものがあります。基本的なところでいえば、「利用しない理由+どうしたら利用するか」や「利用している理由+どうしたら利用していなかったか」などが挙げられます。
この他にも、「利用意向」を尋ねる際は、商品やサービスにおける細かい評価(商品コンセプト、価格、パッケージなど)を同時に調査することで、何が利用意向につながっているのか、逆に利用意向が低い製品はどういった要素が原因なのかを把握できます。
7.感性を信じろ!
調査は有益なマーケティング手法ではありますが、決して完璧なものではありません。リサーチの利用意向が高かったからといってその商品の成功が約束されるというものではありません。要は傾向を把握するためのものです。絶対ではない以上、私達はこうも考えなければなりません。
「自分の感性を信じろ!」
調査における仮説出しの重要性は前回も述べましたが、消費行動の95%が無意識に行われている以上、仮説出しにも感覚的なものが求められます。個人、チームで共有した仮説の検証に向かって最低限のポイントを押さえて調査を進めることが良いのではないでしょうか。