現場社員の積極的な参加を促す工夫
MZ:DXを推進する中で、特に意識されているポイントを教えてください。
大久保(霧島酒造):3つの領域ごとに、関係部署から推進者を選出しています。あじわいDXには約30人、くつろぎDXには約15人、ひとづくりDXには約15人に参加してもらい、定期的に議論を実施。私が担当するくつろぎDXでは、週に1度定例会を実施しています。
というのも、DX推進本部だけではプロジェクトは動きません。お客様と直接コミュニケーションをとる現場の従業員に「デジタル技術の活用によって、お客様に寄り添うことができる」と理解してもらわなければ進められないのです。DXのメリットを最も享受できる現場の社員にこそ、積極的に参加してもらう必要があります。
MZ:トップダウンとボトムアップ、双方の推進力が必要なのですね。
大久保(霧島酒造):DXを推進するなら、両者の協力が不可欠だと感じています。当社の場合は専務のコミットメントが強かったので、あらゆる会議でDXの重要性に関する言及があり、DX推進に必要な予算もしっかり確保されていました。
一方で、現場の声を吸い上げるために、DX推進本部が立ち上がる前から従業員向けのアンケートやインタビューも実施。実際に社員の声を聞いていると、今後も引き続き積極的な意見交換を行っていく必要があると感じています。
DX推進の成否を分けるパートナー選び
MZ:電通デジタルと電通九州では、3本柱のうちCX領域にあたるくつろぎDXを支援されていると伺いました。両社の具体的な役割について教えてください。
矢内(電通デジタル):電通デジタルでは元々、霧島酒造様のDX推進事務局が実施されていた講演会にも複数回、登壇させていただきました。今回霧島酒造様はSalesforceのCDP以外にも「Marketing Cloud」「Sales Cloud」「Tableau」を導入されましたが、当社はそれらのプラットフォームの選定から、製品を使って何をしていくべきかを策定し、導入時に必要な開発、構築、運用までを一気通貫でサポートしています。
久保田(電通九州):霧島酒造様は全国に多数のファンがいるので、キャンペーンを実施すると数万人から数十万人の応募が集まります。電通九州では、そのようなファンの方たちとのより深いコミュニケーションを促すために、LINEの活用やWebマガジンのリリースなどをサポートさせていただいていました。
霧島酒造様が全社的にDXを推進するにあたり、デジタル領域に特化した電通デジタルにフロントを任せ、電通九州側はオフライン施策や、これまで実施してきたCRM施策との連携および整合性の確認などを行っています。
MZ:電通デジタルから見て、Salesforceプラットフォームの強みはどんな点にあると思われますか?
矢内(電通デジタル):お客様との接点を統合・活用できるソリューションがそろっており、1つのプラットフォームで完結できる点です。また、アップデートが高頻度で行われるのも大きな魅力といえます。DXプロジェクトは、推進する中でどんどん成熟度が上がり、やりたいこと・できることが増えていくものなので、土台となるプラットフォームが同じぐらいのスピード感で成長しているのは理想的です。
矢内(電通デジタル):Salesforceプラットフォームの全方位をカバーするケイパビリティは、電通デジタルと電通九州の提供するケイパビリティの広さとも非常にマッチしており、我々の強みが活かしやすいと感じています。