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MarkeZine Day 2025 Retail

D2C企業と探る、BX(ブランド体験)の可能性

メーカーは「やるべきこと」に集中すべき。アンカー・ジャパンCEOが語る顧客目線のD2C

企業が内容を指定したらUGCではなくなってしまう

磯山:SNSやブログで積極的に情報発信するAnkerグループ製品の愛用者を公式認定する「Ankerアンバサダープログラム」を2021年からスタートされたそうですね。

猿渡:テレビCMを打って「製品を買いましょう」と企業側から呼びかけるだけの時代から、レビューや口コミを見てお客様が自分で何を買うかを判断する時代になってきました。D2Cのビジネスモデルはお客様が選ぶ時代にフィットしていると思います。そのため、SNSを中心としたUGC(ユーザー生成コンテンツ)がすごく大事になってきます。

 ただ、私の想いとしては、UGCを作り出すために誘導することはUGCじゃないと思うんです。つまり、企業がインフルエンサーに「こういう発信をしてください」と依頼してしまったら、それはUGCではなく企業のコンテンツになってしまう。そのため、Ankerグループの製品を実際に使っていて発信をしている、本当に好きであろう人に対して「良かったらどうですか?」と声をかけて、任意で発信してもらっています。「#Ankerアンバサダー」のタグは付けていただいていますが、それ以外は内容の指定をしていません。

 今のアンバサダーさんの半分くらいは、本当に好きで使ってくれているんだと思える人に私が直接DMしました。

磯山:CEOから直接DMですか!

猿渡:そのほうが早いですよね。製品に興味を持ってくださっている方が私のTwitterアカウントをフォローしてくださっていることも多いので(笑)。

磯山:確かに代表が熱を持って行動するのが、一番熱量が伝わりますね。

猿渡:人柄が見えていたほうが信頼されやすいとは思います。宣伝をしたくてアカウントを作ったわけではないですが、結果的にそこからAnkerグループの製品を知ってくれる人もいるので、人柄を知ってもらい企業を知ってもらって、製品を買っていただくというのもいいかなと思っています。

ハードウェアが提供する体験で生活を豊かにしたい

磯山:Ankerグループのブランドは、消費者にとってどんなブランドでありたいと思っていますか。

猿渡:私たちのミッションは「Empowering Smarter Lives」です。ハードウェアが提供する体験で人々の生活を豊かにしたい、スマートにしたい、人々をエンパワーしたい。だからこそ、ハードウェアを買いたいと思ったとき、Ankerグループ製品を第一想起にしていただけたら嬉しいです。スマホならiPhone、タブレット端末ならiPadのように、「充電器を買いたい」「モバイルバッテリーを買いたい」と思ったときに、「Ankerグループの製品を買っておけば間違いないだろう」と思ってもらえることを目指しています。

 充電器などは品質や安全性を削ってコストを減らそうと思えばある程度は減らせますが、私たちは価格よりも質の良で認知していただきたいですし、選んでくれたお客様に信頼されるブランドになっていきたい。そのために、お客様にとって本当に価値のある製品を提供していきたいですね。企業が作りたいものを作ることは大事ですが、お客様に求められていない機能を付けても価値にはなりません。価値と機能は違いますよね。

磯山:顧客目線ですべてを設計するということですね。

猿渡:そうですね。自社ECサイトを始めたのもお客様との接点を増やすためですし、LINE公式アカウントや公式アプリ上でチャットの問い合わせ対応を始めたのもお客様の利便性を上げるためです。あらゆることをお客様目線で考えれば何をすべきかが見えてくるし、すべきことが見えたらそれを因数分解して、優先順位を付けてやっていくだけです。

磯山:まさに、消費者のブランド体験を向上させる取り組みですね。最後に、D2Cに取り組む企業に対してメッセージがあればぜひお願いします。

猿渡:「社会を良くしたい」という想いが重要だと思います。より大きな課題を解決できると思いますし、お客様にも社員にも支持されるのではないでしょうか。

編集後記

 皆様もご存知であろう急成長中のD2Cモデルでハードウェアを展開する、アンカー・ジャパンさんにお話をうかがいました。顧客ファーストで考え、「良い製品を作ること」。当たり前のことですが実際にやろうとするととても大変です。

 短期的な利益を追うのでなく、長期の信頼と成長をしっかりと見据え、良い製品を作り顧客目線に立った体験の提供を徹底することで、アンカー・ジャパンさんはD2Cを代表するブランドになったのだとお話をうかがい感じました。新たな製品の準備もあるとのことでこの後の快進撃にも期待しております。

 また、猿渡社長自ら率先してユーザーに向き合い、顧客ファーストなブランド体験を体現することで社会をより良くするという姿勢を私も見習いたいと思いました。

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/31 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39744

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