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MarkeZine Day 2025 Retail

D2C企業と探る、BX(ブランド体験)の可能性

メーカーは「やるべきこと」に集中すべき。アンカー・ジャパンCEOが語る顧客目線のD2C

代替がきく製品だからこそ顧客目線で差別化を

磯山:顧客目線にそれほどまでにこだわるのはなぜですか?

猿渡:Ankerグループの製品には、基本的に競合がいます。しかもコモディティ製品と言われる代替できてしまう製品がほとんどです。だからこそ、お客様目線を持って仕事をしていないといつかは見放されてしまうと思うんです。

磯山:先程仰っていた「短期の利益よりも長期の信頼と成長」というのはまさにその通りですね。

猿渡:尾原和啓さんの『プロセスエコノミー』にも書かれていますが、現在はアウトプットが似通ってきていますよね。たとえばTikTokのインフルエンサーはみんな同じ曲やネタで動画を作っています。私たちメーカーが販売している製品でも、お客様にとっては代替可能な競合製品がたくさんあります。それではどこで差別化するのかというと、プロセスなんです。

 企業はプロセスも含めて見られる時代になってきています。顧客目線でビジネスができない企業は淘汰されていくんじゃないでしょうか。

磯山:私たちは、ブランド体験(BX:Brand Experience)が重要だという話をしてまして、消費者とブランドとの接点において心地よい体験やコミュニケーション、ブランドの世界観を一貫性を持って伝えることが大切だと思っています。まさに、顧客目線で良い製品を作ることとともに、ブランドと接触する体験を良くしていくことが必要だと思います。

 顧客目線を大切にするのは、Ankerグループ本社の方針ですか。それともアンカー・ジャパンとしての想いですか。

株式会社wevnal 代表取締役 磯山 博文
株式会社wevnal 代表取締役 磯山 博文

猿渡:両方ですね。コーポレートバリューのひとつに「Rational(ラショナル)=合理的に考えよう」があるので、合理的に説明できれば日本独自のお客様目線の取り組みがやりやすいのも大きいです。

カスタマーサポートの内製化で顧客の声をフル活用

磯山:アンカー・ジャパンさんがカスタマーサポートに力を入れているのも、「プロセス」への注力になるのでしょうか。

猿渡:カスタマーサポートの内製化は、創業当時から変わらないポリシーです。アンカー・ジャパンは現在社員120名ほどの会社ですが、パートタイマーの方も入れると50人以上のカスタマーサポートスタッフがいます。

磯山:カスタマーサポートの業務を社内で完結している企業は、結構珍しくないですか。コストもかかります。

猿渡:お金だけでなく、手間がかかることも多いです。ただ、私たちに手間がかかることは、誰にとっても同じことです。そういったことをすべてやりきった会社が勝てると私は思っています。

 カスタマーサポートは、販売後のアフターサポートだけではありません。お客様の声には貴重な情報が詰まっているので、それをしっかりと製品開発やマーケティング活動に活かしていくことが大事です。すべてのご意見を製品に反映できるわけではないですが、日々数百件いただくお客様の声は定量・定性で分析し、データとして蓄積しています。

磯山:猿渡さんも自ら顧客とのコミュニケーションをやっているイメージがあります。

猿渡:以前は私も直営店の店頭に立ったり、お客様にインタビューをしたりもしました。現場は何より大事ですから。

磯山:カスタマーサポートでのクレーム対応はどうしてるんですか。

猿渡:もちろん製品やサービスに対しての厳しい声もお客様の貴重なご意見として受け取ります。ですが、ごくわずかながら文句を言うこと自体が目的の方もいらっしゃり、製品やサービスへのご意見ではなく、必要以上に汚い言葉を使うような方は私たちのお客様ではないと思っています。一定の製品に関するサポートをさせていただいた後に、こちらから電話での対応を終わらせていただくこともあります。

 大切な社員の心が傷つくことのほうが問題ですし、クレーム目的の方に時間を使ったために、本当にサポートが必要な方に時間を使えないのもフェアじゃないと考えています。

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企業が内容を指定したらUGCではなくなってしまう

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/31 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39744

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