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マーケターの本棚

鈴木健さんの2冊

 マーケティング業界で活躍するキーパーソンたちの知識量、またそこから生み出される斬新なアイデアにはいつも驚かされます。彼ら・彼女たちは、日々どのように情報収集を行っているのでしょうか? 普段あまり明かされることがない「マーケターの本棚」を覗いてみましょう。

※本記事は、2022年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』80号に掲載したものです。

Q1.最近、いちばん感銘を受けた書籍とその理由は?

株式会社ニューバランスジャパン マーケティング部ディレクター 鈴木健氏 1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランスジャパンに入社し、現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティング・コミュニケーション全般を担当。2017年から2019年はDTCビジネスの直営店とEコマース事業も統括。2020年からマーケティングディレクター。
株式会社ニューバランスジャパン マーケティング部ディレクター 鈴木健氏
1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランスジャパンに入社し、現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティング・コミュニケーション全般を担当。2017年から2019年はDTCビジネスの直営店とEコマース事業も統括。2020年からマーケティングディレクター。

 東浩紀著「情報自由論──データの権力、暗号の倫理」(『情報環境論集 東浩紀コレクションS』所収)です。

『情報環境論集―東浩紀コレクションS』東浩紀著/講談社/2007年刊 1,760円(税込)
『情報環境論集―東浩紀コレクションS』東浩紀著/講談社/2007年刊 1,760円(税込)

 2022年の現在から振り返って、1995年のインターネットの普及から、2000年代に検索ビジネスの拡大、2010年代にはスマートフォンの普及とともにソーシャルメディアの拡大など、常にテクノロジーの進化が経済や社会の進歩に寄与してきたという楽観的な通念が常識化している一方で、プライバシーの問題やセキュリティの課題など情報に関する問題も絶えることはありません。特にコロナ禍において、個人の自由よりも公共の衛生を優先せざるを得ない状況で、デジタル化による人々の行動のトラッキングや規制は、ある意味で全体主義的な「監視社会」を実現していたとも言えます。

 東浩紀氏のこの連作エッセイは、2002年から2003年に中央公論で発表されたもので(この本文はネットでもすべて閲覧可能です。)、20年前の未発達な情報社会において考察されたものですが、ここでの人間の「自由」や「権力」についての課題は、今もなお解決してはいません。一方でAIや暗号通貨やWeb3などの新しい技術が「豊かで平和で自由な社会を実現」するという安易な信奉はますます強くなっているように感じます。

 プライバシーの問題を、マーケターは単にCookie規制という実務的な課題として捉えがちですが、私たちの根本的な「自由」が、個人情報を無自覚に提供することでしか得られないという技術的な枠組みであることは意識すべきでしょう。

Q2.「マーケターならこれを読むべし!」という書籍とその理由は?

 『ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11』です。

『ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11』バイロン・シャープ著/朝日新聞出版/2018年刊 2,640円(税込)
『ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11』バイロン・シャープ著/朝日新聞出版/2018年刊 2,640円(税込)

 言わずと知れた豪アレンバーグ・バス研究所のバイロン・シャープ教授の本著です。これまで「ターゲティング」「ブランドポジショニング」「ブランドロイヤリティ」などの考えを無自覚に信奉していた自分には衝撃的な内容でした。デジタルマーケティングの普及において、追跡して計測可能なデータが増え、また売上に近いダイレクトな投資が過大評価されるような短期的な見方が強くなっていました。シャープ教授が主張する「ブランドが成長するために必要な条件」について実証的かつ実践的に論じていく本書は、伝統的なマーケティング観だけでなく、デジタル中心のマーケティング観の双方の建設的な批判にもなっています。

 シャープ教授によると、ブランドが成長するためには、基本的に購入者が増えていくこと、つまりスケールの拡大が必要です。そのためには購入者から見てなるべく買いやすい状況をブランドが継続的に作り出すことが重要です。買いやすさとは、記憶に関係する想起しやすさのメンタルアベイラビリティと、物理的な購買に結びつく配荷率や棚のシェアのようなフィジカルアベイラビリティがあり、これを常に新鮮にかつ活性化することで購入者を維持、拡大していくことが求められるのです。このような知見は、購買者の数量的な変化がある確率のもとで繰り返し行われるという大きな視点と、そのブランドがどう心理的かつ行動的に購買者に影響するのか、という細かい視点が組み合わさっているために、包括的なマーケティングの論理として自社のマーケティングを見直すことができる利点があります。

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Q3.日々の情報収集、どのように行っていますか?

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/31 08:30 https://markezine.jp/article/detail/39776

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