データ連携と予測機能で運用型広告の課題を解消
──機械学習を活用した広告運用最適化ツールPrecogについて教えてください。
日野:Precogは、広告主である企業様が保有しているデータを活用し、広告配信やCRMなどのマーケティング効果を高めるソリューションツールです。
大きく2つの機能がありまして、1つ目は広告主が保有しているデータの中から良質なデータを取捨選択して、広告媒体に連携することができる機能です。そして2つ目は、各ユーザーの顧客定着につながる様々なアクションを予測する、予測スコアリング機能です。
──予測スコアリング機能とは、どういったものでしょうか。
日野:企業様の保有しているデータや、タグなどオンライン上で取得できる情報を元に、そのユーザーが購入や来店といったKPIとなるアクションに至る確率を機械学習によって予測するというものです。これらの情報を主要広告媒体と連携し、配信に活用することで、各種KPIに応じた質の高いアプローチをより効果的に行うことができます。
──Precogでは、先ほどお話しいただいた運用型広告の2つの課題をどのように解決しているのでしょうか。
日野:1つ目のオフラインのような良質なデータを広告媒体に送信することが難しいという課題については、Precogでは各種広告媒体とのAPI連携機能を有しておりますので、広告主様側で複雑なAPI実装やエンジニアリソースを確保する必要がなく、簡単にデータ連携することが可能です。
2つ目の課題として挙げたコンバージョンの量と検討期間については、Precogの予測スコアリング機能によって解消することができます。予測確率のスコアが高いユーザーを本来のコンバージョンに含める形でデータ連携することで、コンバージョンの質を担保しながら、量的課題にも対処することが可能です。
──どのような業種・業態の企業に活用されているのでしょうか。
日野:Precogのデータ連携機能や予測スコアリング機能は、幅広い使い方ができるので、業種・業態を問わず様々な企業様にご利用いただいております。現在までに数十社の企業様にご利用いただき、好評をいただいております。これまでお話ししたように、実店舗でのコンバージョン導線がある企業様のご活用も増えておりますが、もちろんECやアプリサービスなどオンライン上で完結するビジネスでも多くご活用いただいております。
アプリサービスの場合、インストールからコンバージョンとなるアプリ内課金に至るまでに時間がかかることもあるので、それを予測機能によってコンバージョンのデータを送信することで広告の自動最適化にご利用いただいています。
優良なデータの送信を行い、Yahoo!広告にて来店コンバージョンが17%向上
──Precogを活用したお取り組み事例について教えてください。
日野:高価格帯商品の買取サービスを展開する企業様では、Web上で「査定申込」をした後、電話で「査定予約」をして、出張での「査定および買取」を行うというビジネス導線になっています。
従来はオフラインのコンバージョンデータである「査定予約」を運用型広告と連携することができなかったため、オンラインで計測可能なWeb上での「査定申込」をコンバージョンとして広告配信に最適化をかけてきました。しかし申込後、「査定予約」に至る転換率に課題がありました。
そこでYahoo!広告のオフラインコンバージョンのインポート機能とPrecogのデータ連携機能を活用し、「査定予約」を毎日Yahoo!広告へ自動送信するような仕組みを構築しました。それにより「査定予約」をコンバージョンとしてYahoo!広告の自動最適化を機能させることができました。その結果、「査定予約」への転換率が改善し、予約数は約17%増加、獲得単価は約13%改善できました。