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業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

スポーツを通して企業とユーザーをつなぐ。イオングループ企業が描く、EC事業のその先とは?

15万円のスポーツバイクが、ECで飛ぶように売れる理由

MZ:続いて残り2本の事業の柱となる、テニス用品と自転車のEC事業についてお教えください。どちらもECで購入する商品としてはかなり高額な部類ですが、それらがEC完結で売れる理由はなんでしょうか?

泊:テニス用品を扱う「Tennis-Point(テニスポイント)」、スポーツバイクを扱う「Probikeshop(プロバイクショップ)」というECサイトをそれぞれ展開しています。どちらも、ここでしか買えない商品をドイツから仕入れて販売しています。

ECサイト「Probikeshop」
ECサイト「Probikeshop」

泊:スポーツバイクの事例でお話しすると、価格帯としては15万円以上が一般的な商品になります。それを50台仕入れてProbikeshopのサイト上に掲載すると、一週間で売り切れになるようなスピードで購入されます。理由としては、まず限定販売の商品やここでしか買えないブランドを扱っている点が、スポーツバイクを愛好するユーザーに刺さるのだと思いますね。

 またイオングループ企業であることを活かして、イオンモールでスポーツバイクの試乗会イベントも3ヵ月に1回ほど開催しております。試乗会では実際に商品を試していただき、注文はオンライン上で行うことで輸送コストの削減を図っています。加えて、スポーツバイクは一般的な自転車と違って専用のディーラーでメンテナンスを行う必要があるため、Probikeshopの商品のメンテナンスを行ってくれる提携ショップを各地に増やしているところです。

 このような形で、ECの強みを生かしつつリアル購入との差を埋めていく施策も併せて打ち、ユーザーに安心して商品を買っていただけるよう意識しています。

目指すのはECを超えた「ビヨンドリテール」

MZ:最後に、今後の展望について伺えればと思います。

泊:スポーツに関わる事業や施策を通して、コミュニティ作りを進めていきたいですね。我々は「ビヨンドリテール」という言葉で表現しているのですが、ただ商品をたくさん売ることではなく、コミュニティを作って広げるということを目標に掲げています。

 たとえば、先ほども申し上げたOutfitterの冠大会を行ったり、ロゴ掲出を通してスポンサー企業とユーザーやそのチームに関わる人をつなげたり、ということが挙げられます。ECはあくまでそれらを実現する手段の一つ、という認識ですね。将来的には、スポンサー企業と連携してチームの遠征費を支援するプロジェクトや、プレーヤーだけでなく応援する側の方々のユニフォームの販売などもやっていきたいです。

泊:スポーツバイクの領域においては、観光業界と提携して「サイクルツーリズム」というコンセプトのもと旅行者にレンタサイクルとして提供し、移動・アクティビティでの利用や大会の開催といったプロジェクトも計画中です。スポーツバイクの観光関連への活用について問い合わせをいただくことも増えており、「観光×サイクリング」の需要の高まりを感じています。

 さらに、我々はEC完結のビジネスであり物理的な店舗をもっていないため、メタバースとの親和性も非常に高いと思います。メタバース上の店舗でアイテム販売を行い、ユーザー同士で交換の場を設けたりOutfitterで作ったユニフォームをアバターに着せて集まったり、その姿でeスポーツのように試合をするなど、色々考えられますよね。

 オンラインでもオフラインでも「ビヨンドリテール」として、スポーツを介しユーザーにコミュニティづくりの機会を提供できる企業を目指していきます。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39968

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