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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2022 Autumn

ロジック×感性のアプローチで感動を生み出す。資生堂クリエイティブが追求する「体験デザイン」の考え方

ユーザビリティ×サスティナビリティ×ブランディングの関係性

 このほかに、川合氏が紹介したのは「アクアレーベル」と「エリクシール」の事例。

 アクアレーベルは、コロナ禍で生活者の健康や美容への意識が大きく変化したことに着目し、それを製品開発からプロダクトデザイン、コミュニケーションまで落とし込んでいった。「生活者の価値観を分析することで、美を新たな形で表現・提案することができたと思っています」と、川合氏は手応えを述べた。

展開クリエイティブの全体像。かなり短期間での開発ではあったが、研究部門・マーケティング部門・生産部門に、早めにクリエイティブ部門も参入することで、生活者のインサイトをもとに響くデザインをしっかり考えることができた
展開クリエイティブの全体像。かなり短期間での開発ではあったが、研究部門・マーケティング部門・生産部門に、早めにクリエイティブ部門も参入することで、生活者のインサイトをもとに響くデザインをしっかり考えることができた

 次に「エリクシール」の事例においては、ユーザビリティとサスティナビリティ、そしてブランディングの関係性について、自らの考えを話した。

 「エリクシール」は1983年に誕生、来年で発売から40周年を迎える資生堂の老舗ブランド。2012年から詰め替えに対応したリフィルを販売しており、資生堂のサスティナビリティ推進の柱にもなっているブランドである。

2022年9月のブランド刷新ではサスティナビリティへの対応もアップデート。リフィルの販売は2020年まで日本国内のみだったが、2021年1月の中国での販売開始を皮切りに、他のアジア諸国にも展開予定
2022年9月のブランド刷新ではサスティナビリティへの対応もアップデート。リフィルの販売は2020年まで日本国内のみだったが、2021年1月の中国での販売開始を皮切りに、他のアジア諸国にも展開予定

 「こうした取り組みの背景には、エリクシールで新しいスキンケア体験を提供することで、生活者のサスティナビリティへの意識を高めたいという目的があります。サスティナビリティへの対応やプロダクトの使用性も、ブランド体験の構成に欠かせない条件です。私は主に商品パッケージをメインにクリエイティブをディレクションしていますが、こうしたブランドのフィロソフィーや考え方はデザインにも表れているべきだと考えています」(川合氏)

資生堂が追求する「美しさ」とは何か

 最後に川合氏は、サスティナビリティとユーザビリティに関連する取り組みとして、資生堂の「SHISEDO UNIVERSAL BEAUTY DESIGN」という活動を紹介した。

 「使いやすさ、環境配慮、デザインの美しさ。これらは、一見すると相反するもののように思われるかもしれません。しかし、私たちは、美しさとは単なる見た目のことだけでなく、商品を手に取ったあらゆる人がストレスなく使えること、使っていて気持ちが高まること、地球の未来も考えたものであること、これらすべてを備えたものであると考えています。その考えのもと行っているのが『SHISEDO UNIVERSAL BEAUTY DESIGN』という活動です」(川合氏)

 「SHISEDO UNIVERSAL BEAUTY DESIGN」では、ユニバーサルデザインやサスティナビリティに関する幅広い知識を得ることを目的としたワークショップの開催や、感性計測の研究、カスタマーセンターと連携して使いやすい容器を考察するなど様々な取り組みを行っている。感覚的に心地よく使えるデザイン、五感に訴えるデザインを追求しながら、美しさと地球への負荷のトレードオフをなくすことも目指しており、ここで得られた知見を資生堂グループの各部門に共有する機会も設けているという。

SHISEDO UNIVERSAL BEAUTY DESIGNで行っている活動の様子(一部)
SHISEDO UNIVERSAL BEAUTY DESIGNで行っている活動の様子(一部)

 川合氏は、Product Creative Directorとして体験デザインを創造する自身の、そして資生堂クリエイティブとしての目標を次のように述べ、講演を結んだ。

 「これからも市場はどんどん変化し、生活者のライフスタイルや意識も変わっていくでしょう。こうした時代の流れ、風の流れを常にキャッチし、マーケターをはじめとする様々なプロフェッショナルとしっかり関わりながら、新たな美の体験の創造を追求していきたいと思います」(川合氏)

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/17 09:00 https://markezine.jp/article/detail/40094

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