MEOへの取り組みを始めている企業は市場全体の50%
MZ:企業のMEOを支援する立場として、MEOの取り組みはどの程度進んでいるとお考えでしょうか?
大澤:体感として、2018年頃の時点でMEOに取り組む企業はほとんどありませんでした。それが現在では、市場全体の50%が自社運用ないしコンサルティングを受けている印象です。ただ、格差が大きいですね。先進的な企業では運用が進んでいる反面、手つかずのまま放置している企業も存在します。
MEOについて課題感は感じていても、何をどう運用すればいいかわからない企業も少なくありません。このような企業に対しては、ツールの提供というよりは、コンサルティングを交えた支援が必要となります。
一方、ある程度規模感のある企業やチェーン店では既にMEOの担当者を据えており、この場合は運用効率や効果を上げるためにツールをご活用いただくことになります。企業規模によって、ニーズがはっきりと分かれていますね。
樺島:とはいえ、大規模チェーン店などでもMEOの専任担当を置いているケースは稀です。SEOや集客の担当者が兼務することがほとんどではないでしょうか。
マップの情報は目立つ箇所に表示されるため、経営層の目にも留まりやすい。社長や役員の方が自社のマップ情報を見かけたことを皮切りに、MEO対策に取り組む企業がここ2~3年で増えています。

大澤:店舗運営やローカルマーケティングの場合、「競合の順位が高い」「口コミ数で負けている」などは経営者の方が必ず見るポイントです。一度課題として認識されると、実務担当者は報告を求められますからね。
数百店舗の情報を手打ちで集計する場合、作業は膨大ですが、ツールに置き換えれば自動集計で差分も出せますし、エリア別のグルーピングもできます。当社ではBIツールにも力を入れているため、そのまま報告書として活用することが可能です。
MEOの活用によってコアユーザーを導く導線をつくる
MZ:MEOによって企業が目指すべきコミュニケーションの在り方とはどのようなものでしょうか。
大澤:Googleはユーザーファーストを追求しますし、我々もお客様の先のエンドユーザーを見据えた運用をしているため、情報のわかりやすさや魅力的に伝わる方法を突き詰めることだと思います。

大澤:顕著なのが指名検索です。ユーザーが店舗名を検索した際、わざわざサイトへ誘導して情報を伝えるよりも、検索結果画面で伝えられた方がいい。
Googleビジネスプロフィールを運用していけば、今週のおすすめやスタッフの投稿などをそのまま検索結果画面に表示できますし、ECサイトの購入ボタンまで誘導することもできます。また、お店の予約などの連携も可能です。
ユーザーは楽ですし、お店側としても工数が減るため齟齬が起きづらい。また、ユーザーが悩む時間を減らすことで、経済活動上のロスの削減につながる、といったメリットもあります。
もう一つ、コミュニケーションの上で重要なのが、業態ごとに発信すべき情報の違いです。美容室、歯科、アパレルなど様々な業態の店舗がありますが、必要な導線は異なります。
美容室や歯科に必要なのは予約への直接的な導線ですが、アパレルの場合、在庫のある店舗を案内したり、オンラインへ誘導したりする別の導線が必要となります。
また、検索ワード自体で顧客単価も変わりますよね。居酒屋であれば「個室 デート」と「宴会」では顧客単価が異なりますし、医療クリニックや歯科であれば、自費治療か否かなども重要なポイントです。
集客の起点として、売上に繋がらないユーザーばかりを集めても意味がありません。
コアユーザー、リテンションの高いユーザー像を把握するところまで踏み込み、設計から運用に入ることが、企業とユーザーとのコミュニケーションを考える前提として大事なポイントだと思います。