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データで紐解く、現代子育て世帯のインサイトとその変化

データでわかる!子育て世帯にアプローチする際、押さえておくべき3つの特徴とは

特徴1:日・月・年齢別のセグメンテーションが重要

 ここからは、「子どもが誕生することをきっかけに購入するもの」、つまり粉ミルク・紙おむつ・ベビーカーといったベビー用品に対する購買行動から、子育て世帯を対象とした市場における以下の3つの特徴について記します。

1.日・月・年齢別のセグメンテーションが重要

2.購買対象層が短期間で入れ替わる

3.購入者と使用者が異なる

 子どもは、ママのお腹で生命を宿してから妊娠2ヵ月、3ヵ月……、生後0ヵ月……と成長していきます。ママ自身も妊娠2ヵ月、3ヵ月……生後0ヵ月……と、その時々で悩みや考えることが異なり、ニーズも変化します。

 子どもが成長するとともに準備するものも増えていきます。メーカーや小売店が配布している「出産準備リスト」を見ると、妊娠初期にはサプリメントを、妊娠中期には「マタニティウェア」「妊婦帯」などを購入するよう書いてあります。もちろん、出産後の外出を考えベビーカーや、生活に必要な紙おむつ・ベビーベッドなど基本的なアイテムも含めれば、購入しなければならないものは膨大です。

 しかも、その購買は非常に限定的かつ多忙な時間の中で、数ある情報からママ・パパは判断しなければなりません。マーケター視点では、この購入者の限られた時間の中で、いかに自社の商品を選択してもらうかを考えなければならないわけです。しかも、上述したように子どもの各月齢でニーズは異なります。たとえば、ベビーカーの例を見てみましょう(図表3)。

図表3 ベビーカー購入時の重視属性 出典:コズレ 子育てマーケティング研究所(2018年1月調査、分析対象:ベビーカー購入経験のある「妊娠初期~生後5ヵ月の子」をもつママ738名)
図表3 ベビーカー購入時の重視属性
出典:コズレ 子育てマーケティング研究所(2018年1月調査、
分析対象:ベビーカー購入経験のある「妊娠初期~生後5ヵ月の子」をもつママ738名)

 図表3はコレスポンデンス分析の結果です。コレスポンデンス分析は似た反応を示すもの同士が近辺に分布され、この図でも購入時の子どもの月齢によって、重視する属性が異なることがわかります。

 妊娠初期にベビーカーを購入した場合、明確な商品属性を調べるというよりは大まかに「口コミ」を重視する傾向があり、妊娠中期に購入した場合は抽象的な「ブランド」が重視される傾向が伺えます。また、妊娠後期に購入した場合、使用について真剣に考え「デザイン」とともに具体的な商品属性である「軽さ」「操作性」を重視する傾向があります。

 一方で、子ども誕生後の生後0~2ヵ月に購入した場合は、明確に使用シーンをイメージして「安全性」や「荷物の入る量」「シートの向き(対面式/背面式など)」といった具体的な商品属性を重視する傾向が見てとれます。

 いかなる市場においても、真の購買対象層に適切なメッセージを伝えることは重要ですが、特に子育て用品・サービス市場においては日・月・年齢別のセグメンテーションが基本です。これが特徴の1つ目となります。

特徴2:購買対象層が短期間で入れ替わる

 私事で恐縮ですが、先日、ノートパソコンが故障し買い替えました。買い替えた新品のノートパソコンも、おそらく数年後には買い替えることになると思います。ただ、おそらく数年後もノートパソコンを必要としていると思うので、パソコンメーカーにとって私はこの先も顧客です。

 一方、紙おむつや粉ミルク、ベビーカーなどの子育て用品は使用期間も限られ、数年後には今購入しているママ・パパは購入しなくなります。しかし、また新たな子どもたちが誕生し、そのママ・パパが購入するようになります。

 つまり2つ目の特徴は、購買対象層が短期間で入れ替わる点です。マーケター視点で注意しなければならないことは、常に「今の」ママ・パパが何を考えているのか、そしてそれがどう変化しているのかです。言い換えると、限定期間に繰り返し購買する対象を追いつつ、新たに市場に入ってくる新たな対象(新規顧客)にも対応する必要があるわけです。

 前述したようにこの市場の1つの特徴は「日・月・年齢別のセグメンテーション」が基本ですが、短期間で入れ替わる対象の変化を追い続けるためには、サイコグラフィック(心理的)変数も重要です。図表4は、妊婦さんを分類するための尺度を構築したのち、クラスター分析を行い、6グループに分類した結果です。

図表4 妊娠さん分類
出展:コズレ 子育てマーケティング研究所(2021年2月調査、分析対象:「第一子妊娠中のママ」2,142名)
クリックして拡大

 2021年時点での妊婦さんの大まかな概要は、各グループの存在割合を含め、図表4よりおわかりいただけるかと思います。注意すべきなのは、このような分類結果は「我々の頭の中における妊婦さんのイメージ」を共有するにとどまる点です。あくまで重要なのは、アプローチの対象であるママ・パパの声と向き合うことです。

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特徴3:購入者と使用者が異なる

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この記事の著者

飯野 純彦(イイノ アツヒコ)

1980年群馬県生まれ。慶應義塾大学大学院修士、博士課程を経て、滋賀大学経済学部特任講師、秋田大学教育文化学部専任講師。2017年より友人らが起業した株式会社コズレに参画。現在、コズレ子育てマーケティング研究所所長としてベビー用品・関連サービス企業のみならず、子育て世代にアプローチしたい多くの企業のマーケティング・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/02 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40322

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