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仕事観が劇的に変わる。長谷川氏に学ぶ「人生のプロマネ術」

長谷川氏に聞く“人生”と“キャリア”の話。P&Gのマネジメント方法を応用した「人生のプロマネ」とは?

長谷川さんがたどり着いた、人生のゴール(成功)

MZ:そのフレームワークをプロジェクトではなく“人生”に当てはめたわけですね。となると、人生のゴールをまず設定することになりますが、長谷川さんはどのように設定したのですか?

長谷川:“人生”なので本当に色々な要素があり、自分にとって人生の成功とは何なのか、自分自身と向き合ってとことん考えました。こんな感じでちゃんとお話しするのは気恥ずかしいですが……(笑)、そこで最終的に行き着いたのは、「人生最後の死ぬ瞬間に孫に囲まれて『じいちゃんの人生、カッコイイやろ!』と心から言えるようになっていたい」ということでした。死ぬ瞬間に胸を張ってそう言える人生にしたい。これこそが自分の人生における“成功”だと思いました。これは僕の死生観にも近いと思います。

 社会的意義や貢献を求める生き方も素晴らしいですが、僕の場合はもうちょっと手触り感のあるゴールに行き着いたわけです。

MZ:そのゴールから逆算して、段取り(キャリア)を考えていったのですね。

長谷川:そうです。死ぬ瞬間に「カッコいいやろ!」と言えるためには? と逆算し、必要な物事を言語化していきました。たとえば、僕は人材育成に対してパッションがあるので、「人材育成をライフワークとしてやっていく」ということや、「最終的には自分で事業を興して、ビジネスの世界で仲間と一緒に勝ちに行く」などですね。

 そして、これもP&G時代に身に着けた重要なビジネススキルですが、P&Gには自分の考えや提案をすべて1ページにまとめるカルチャーがあります。たくさんの要素をそぎ落として1ページにまとめていく過程で、本質的な要素に気づくことができる。人生のプロマネも、「成功の定義」と「何歳までに何を達成するのか」という段取りを1枚の紙にまとめ、証人のような形で、友人にサインをしてもらいました。

MZ:そこから自分のキャリアや仕事など、どのように具体的な段取りに落とし込んでいくのでしょうか?

長谷川:「今年は何を達成するか」「そのためにはどんなアクションが必要か」という段取りを考え、ノートに活動状況を記録しています。毎年年末が近づいてきたら1年の振り返りをして、また次の1年のプランを立てる。これを今も毎年繰り返しています。

1冊目のノート。「Project Mauii」は、人生のプロマネを立てた場所マウイ島にちなんでつけた
1冊目のノート。「Project MAUI」は、当時、将来移住を考えていたマウイ島にちなんでつけた

仕事やキャリアを“段取り”通りに進められる?

MZ:ですが、会社の中にいると、自分に任される仕事の内容をコントロールするのは難しいこともあります。プロマネのとおりに、挑戦したりスキルを習得したりできるものなのでしょうか?

長谷川:大事なのは、これはあくまで人生のプロマネであって、業務のプロマネではないということです。僕は人生のプロマネの中で「35歳で起業する」ことを決めていました。なので、MOON-Xを創業するまでは、起業してビジネスを成功させるために自分には何が必要かを考えて、プランを立てていました。

 たとえば、事業を興したら、優秀な人材を自社に集める採用活動が必須になりますよね。活躍できる人材はどこにいるのか、人の資質はどのように見極めるのか、優秀な人材を見つけたらどのように説得するのか。こういった採用分野での経験や知見が必要なので、プロマネの中に「採用の引き出しを作る」という段取りを設定していたわけです。

 そしてある時、会社の中で中途採用のプロジェクトが立ち上がることになったので、そこで手を挙げてプロジェクトリーダーになり、1年ほど採用活動の経験をしっかり積みました。人生のプロマネの中では、この経験とそこから得た知見こそが重要です。会社の評価や昇進とは異なる軸で、自分に必要なことを考え、それを得るアクションを起こしていくイメージですね。実際に、僕の人生のプロマネの中には「こういう仕事をして、こういう成果を出す」というような目標やステップは、ほぼ入っていません。

 ある年に、「昇進する」というプランを立てたこともありますが、これも「将来会社をリードするために、今担当している事業でリーダーシップを取り、その力を養う」という目的のもと設定したものでした。

MZ:あくまで会社や仕事場は、人生の成功に向けた学びのフィールドということですね。普通に働くのとプロマネがあるのとでは、1年、1ヵ月、1日の濃度がかなり変わってきそうです。

長谷川:そうですね、会社は自分の力を磨くための場所だと思っています。しかし、僕は“win-win“の関係性を常に意識しています。自分のアクションを通して結果を出し、会社に貢献することは前提として重要で、それが社員と会社の健全な関係性だと思います。

 1年の濃度が濃いというのは、そのとおりです。人生やキャリアは、捉えどころのないものです。「今年はこうしたい」という目標に向かって、具体的な段取りを決めてアクションを起こしていく。結局、目標と実践の積み重ねで、人は成長していけるのだと思います。

12月28日公開予定の2本目『P&Gから楽天、Facebook Japanへ。起業という中間目標を達成するまでのキャリアを振り返る』では、人生のプロマネを軸に長谷川さんが進んできたキャリアを振り返り、その中で大きかった学びについてお話いただきました。ぜひ、続編もご覧ください。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/18 07:22 https://markezine.jp/article/detail/40351

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