カーボンフットプリントによる「見える化」
商品やサービスの原材料調達から利用・廃棄に至る(Scope1からScope3までの)ライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を、CO2量に換算して商品やサービスにわかりやすく表示する仕組みはカーボンフットプリントと呼ばれており、「見える化」された情報を用いて企業と生活者の間でCO2排出量を削減するための「気づき」を共有し、企業がサプライチェーンを構成する企業間で協力してCO2排出量削減を推進するために利用される(図表2)。

©2022 SHOEISHA Co., Ltd./INTAGE Inc.(MarkeZine vol.82)
このカーボンフットプリントは商品やサービスだけでなく、生活者個人の活動も測定し算出することができ、個人ごとのCO2排出量を「見える化」することで、生活者がよりサステナブルな消費生活へ自ら意識と行動を変容していくことが求められている。
そのためには、生活者が自身の行動による個人単位のCO2排出量を可視化し削減するための支援を行うサービスが有効と考えられる。このようなサービスは日本でも始まっているが、北欧をはじめとする欧州で先行して進んでいる。たとえば、英Pawprint社が提供するアプリは、個人が食料の消費や旅などライフスタイルに関する情報を入力することで、自身のカーボンフットプリントを測定および「見える化」し、各自の削減目標の達成に向け、生活スタイルに沿った行動のアドバイスをしてくれる。
日本の環境省も、国民一人ひとりの意識変革・行動変容を促進させることで脱炭素型のライフスタイルへ転換させていくことを目指し、個人や世帯の行動履歴データを収集することでCO2排出量を見える化しようとしている。さらに、ナッジやブーストなどの行動科学とAIやIoTなどの技術を組み合わせ、一人ひとりに合ったエコなライフスタイルを提案して行動変容を促していくシステムの構築と実証を2022年度から5年間の事業として実施する計画だ。