注目のMeta新機能「Post Conversion Optimization(PCO)」とは?
MZ:続いて、Metaが提供する予定の新機能PCOがどういったソリューションなのか、ご紹介いただけますか?
宮本:これまでFacebook/Instagram広告は、「広告の表示もしくはクリックから7日以内に発生するウェブ上のイベントに対して広告配信を最適化する」というロジックになっていました。この時、広告最適化に向けて設定できるCVポイントは1つのみでした。
しかし、PCOでは浅い階層と深い階層の2つの利用者行動に対して、広告配信を最適化することができます。つまり、CVポイントを2つ設定できるということになります。
MZ:広告の自動最適化を回すのに際しCVポイントを2つ設定できるというのは、業界全体を見渡しても画期的な機能だと思います。具体的には、どのようなことができるようになるイメージでしょうか?
宮本:たとえば、無料会員登録から一定期間経った後に課金が発生するという形のサービスモデルがありますよね。コミックシーモアの読み放題サービスもそうですし、動画配信のサブスクリプションサービスやフィットネスクラブもこれに当てはまります。こういったモデルの場合、広告主においては「有料会員となる顧客を獲得すること」が最終的な広告の目的になります。しかし、ほとんどの場合、無料会員登録後の課金が7日以内に発生することは多くありません。ですので、従来の最適化のロジックでは、広告主のニーズに寄り添えていない部分がありました。
その点、PCOでは、37日間(7日間+30日間)以内に発生するウェブイベントに対して、広告の自動最適化を回すことができます。よって、浅い階層の利用者行動として無料会員登録を、深い階層の利用者行動としてサービス課金を、と2つのCVポイントを設定することが可能になります。
様々な業種業界での活用イメージ
MZ:たしかに、サブスクリプションサービスとPCOは特に相性が良さそうですが、他の業種業界だとどのような活用が考えられるでしょうか?
Lin:PCOは業種業界に関係なく、アイデア次第で様々な活用が可能です。PCOは現在、一部の広告主様に対してオープンベータ版として限定的に提供をしていますが、既に色々な業種でPCO活用によるビジネスへの効果が見られています。その中から、今日は3つの活用例をご紹介したいと思います。
まず1つ目は、最適化したい深い階層の利用者行動が広告表示/クリックから7日以降にある場合です。これは先ほど宮本がお話したサブスクリプションサービスの有料課金の例と同じ使い方ですが、他にも金融系のサービスで審査後に利用者への課金が発生するケースなどもあります。
2つ目として、特定の利用者行動を抑制したい時にもPCOは機能します。わかりやすい例で言うと、ECの返品を利用者行動として設定すれば、返品率の改善に向けて広告表示を最適化することもできるわけです。
最後に3つ目ですが、リアル店舗をお持ちの業種でもPCOを効果的に活用いただくことができます。代表的な例は、オンラインで来店予約をし、来店後に本契約に至るケースです。たとえば、ジムやヨガなどフィットネス系のサービスやエステティック系のサービス、英会話などの塾・教育系のサービス、少し毛色は異なりますがオンラインで試乗予約をして店頭で契約をする自動車などのプロダクトをお持ちの場合も上手く活用できます。
ポイントは、店頭での本契約というオフラインイベントから「こういう属性の利用者は本会員になる可能性が高い」とフィードバックすることで、Facebook/Instagramの広告の自動最適化の精度がさらに上がる点です。オフラインデータの有効活用にこそ、PCOの活用可能性があると考えています。これまでオンライン予約の獲得を目的にCPA3,000円で運用していたところが、CPA5,000円と多少上がっても、最終的な本契約をCVとして考えると費用対効果は高くなる、といったことも考えられるでしょう。
「新規顧客を獲得したいけど、できるだけ質の高い利用者を獲得していきたい」など、これまではサブ的な位置づけにあった目的も考慮して広告最適化を実現できる点に着目いただくと良いと思います。
MZ:なるほど。本当に色々な業種業界で有用なのですね。
宮本:そうですね、今Linがご紹介したケースの業種業界に限らず、PCOのこの最適化の機能自体が画期的であるということで、様々なところでチャレンジをしていただいています。