定性分析の目的と活用できるツール
定性分析は、UGCの内容を深堀りする手法です。「なぜこのUGCが生まれたのか」「誰がどんな文脈で投稿しているのか」「ユーザーに自社製品が受け入れられやすい文脈は何か」など、UGCの背景を探ることで示唆を得ることを目的とした分析といえます。
また、定量分析のパートでも解説していますが、数値データの内訳を解き明かすことも定性分析の大きな役割です。
定量分析と同じく、まずは活用できるツールを参照できるデータとともに紹介します。
Twitterの「高度な検索」
Twitterには「高度な検索」という機能があります。単純なキーワード検索だけではなく、様々な絞り込みをともなった検索ができるため、事前に立てた仮説を検証しやすいメリットがあります。ブラウザでの検索を推奨します。

高度な検索では、次のような絞り込みや分析ができます(上図に示した番号ごとに解説)。
- 「キーワード」による絞り込み:自社製品の名称など、特定の商品や話題を分析できる。さらに複数のキーワード設定によって、「製品名+文脈」といった絞り込みが可能。
- 「アカウント」による絞り込み:ベンチマークの競合アカウントや、特定のインフルエンサーからの投稿を分析できる。
- 「フィルター」による絞り込み:「返信」や「リンク」など、会話や企業のリンク遷移を除いて分析できる。
- 「エンゲージメント」による絞り込み:一定数の反応を獲得した投稿(いわゆるバズツイート)を絞り込んで分析できる。
- 「日付」による絞り込み:期間を絞り込むことができる。今年と去年のUGCを比較して分析できる。特定のモーメント分析に向く。
- その他「コマンド」による絞り込み:プラットフォーム上には出てこないが、絞り込みができるコマンドが存在する(下記はその一部)。
- 「filter:images」画像付きツイート
- 「filter:verified」認証アカウント(公式アカウント)
- 「card_name:unified_card」広告メニューのカードを活用したツイート
1〜5の絞り込みも、検索後の入力欄にコマンド化された状態で表示されます。このようなコマンドは他にもたくさんありますので、検索してみてください。
これら、1〜6までの絞り込み検索を組み合わせることで、定性分析の精度を上げることができます。Twitterの公式サイト内にある「Twitterヘルプセンター」にも有益な情報が載っているため、よろしければ参考にしてください。
また、ホットリンクが運営するオウンドメディアの記事でも「高度な検索」機能に関して詳細に解説しています。こちらも参考になれば幸いです。
定性分析では「仮説」から判断基準を作る
Twitterの高度な検索を使って実際に分析を行う際には、次の2点に注意すべきです。
事前に分析の目的を設定し、仮説を立てておく
言い換えると「判断の基準を設けておく」ということです。
仮説がない状態でただUGCを眺めるだけでは、有益な判断は下せません。仮説をベースとした判断基準を設けるだけで、分析の結果と効率性は、大きく変わります。
たとえば、自社製品のUGCの内容を分析するとき、事前に「自社製品はデザイン性を評価されているのではないか」という仮説を立てます。実際にUGCを分析するとき、判断基準を設けることで「基準に達している」「基準に達していない」という行動を起こすことができ、工数の削減につながります。
新しいアイデアは見つかりにくい
定性分析では、「想像できないような新しいアイデアは見つかりにくい」点に要注意です。
「目新しい発見」を追い求め、ぼんやりとUGC全体を見ているだけでは、膨大な時間がかかってしまいます。結果的に、意図するような「目新しい発見」を得ることが難しいことも、理解しておく必要があります。
データから目新しい発見を求める手法の代表例としては「データマイニング」が挙げられます。一般的には、大量のデータから人工知能などを用いて、有用な情報、従来自明ではない情報を抽出する分析手法を指します。
そのデータマイニングの中でも、Twitter上のUGCのような文章を読み込む分析は「テキストマイニング」と呼ばれる手法です。余談ですが、日本語のテキストは英語など他の言語と比較して、データとして処理する際の難易度が特に高いといわれています。
時間が確保できるのであれば、まずは目検してUGCの全体像を把握することを推奨します。