マーケターが苦手意識を持ちがちなデータへの理解や分析をより身近にするべく、SNSマーケティング支援を展開するホットリンクが、成果につながるSNS分析の考え方や正しいデータの見方を解説する本連載。第5回となる本稿では、マーケティング活動に役立つSNS分析の実践フローを「ブランド立ち上げ」のシチュエーションになぞらえて解説します。
「メンズコスメ」を題材にSNS分析実践の流れを解説
前回は、一般に「ソーシャルリスニングツール」と呼ばれる有料ツールの特徴や導入のメリットなどを解説しました。今回は、実際に業務で行うSNS分析の流れをわかりやすくするために、「メンズコスメブランドの立ち上げ」というシチュエーションを設定し、具体的な手法を解説していきます。前提となる状況は次の通りです。
シチュエーション設定
- コスメ商材を取り扱うブランドが、新たにメンズコスメブランドを立ち上げることになった。
- そこで、ソーシャルリスニングを通じてメンズコスメ市場のニーズや競合について調査する。
- 分析で得た示唆を基に、取るべきマーケティング戦略と施策の立案、展開を行う。
以降は、このシチュエーションにおいて様々な意思決定を行うために必要な各調査と分析手法を、実際の検討の流れを想定した順番で解説します。
1:市場規模を調査する
新たにメンズコスメのブランドを立ち上げる場合、需要はどれくらいあるのでしょうか。これをUGC数から調査してみましょう。UGC数の創出は顧客が商品を実際に手に取った数が大きく影響するため、UGCの量を調査することで、市場規模をある程度把握することができます。
ホットリンクが展開するソーシャルリスニングツール「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」(以下、クチコミ@係長)を使い、メンズコスメに関連するキーワードを含むTwitter上のUGC数の推移を見ると、2020年から徐々に増えてきていることがわかります。このデータから、メンズコスメは需要が伸びつつある商材で、今後も需要が増加する可能性を秘めているといえそうです。
このように、UGC数の推移から市場の成長度合いはわかります。しかし、そもそもメンズコスメに関するUGC数は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。UGC数の多寡によっても、市場に対する期待値は変わってきます。そこで、市場の大きさをわかりやすくするために比較対象を置いてみましょう。女性用も含めた一般的なコスメ用品のキーワードと比較してみます。
一般的なコスメ用品のキーワードと比較すると、メンズコスメに関するUGC数の方が、やはり圧倒的に少ないです。
これらの情報を合わせると、「メンズコスメは市場としてはまだ小さいが、伸び代がある」といえそうです。
2:ユーザーが抱えている課題を調査する
では次に、ユーザーがメンズコスメに対してどのような課題、ニーズを抱えているか。ソーシャルリスニングでこれを調査するならば「ユーザーが『メンズコスメ』というキーワードとともに、どのような悩み・課題を発信しているか」を見るのが良いです。
有料のリスニングツールを使うのであれば、上記の検索条件に合う機能で分析を効率化しましょう。たとえば「クチコミ@係長」には、検索したキーワードの周辺で語られることが多いキーワードを上位順に表示できる「頻出関連語」という機能があります。この機能を使うと、「メンズコスメ」系のキーワードと一緒に投稿されているキーワードを見ることができます。
頻出関連語のキーワードを見ていくと、メンズコスメでは「アイメイク」や「チーク」、「リップ」などのポイントメイクの話題はほとんどなく、「眉毛」や「お肌」や「毛穴」など、スキンケアやベースメイクに関するキーワードが頻出していることがわかります。
さらに「お肌」というキーワードを含んだUGCを見ていくと、「乾燥肌」や「毛穴」などの肌に関するジェンダーフリーな悩みや、「カミソリ負け」や「青ヒゲ」といった男性特有の悩みを見つけることもできました。
これらのデータから、メンズコスメにおけるユーザーの課題は、ポイントメイクではなく、スキンケアやベースメイクで解決できるものが多いことがわかります。
ちなみに、「メンズメイクではポイントメイクよりもベースメイクに関するUGCが多い」という示唆から、「メンズメイク市場において、ポイントメイクはブルーオーシャンなのではないか」という仮説を立てることもできます。
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- この記事の著者
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辻 元気(ツジ ゲンキ)
株式会社ホットリンクのデータアナリスト。2018年に入社し、ソーシャルリスニングツールのセールス・カスタマーサクセスに従事。現在はSNSの分析を強みに、大手企業アカウントのコンサルティングを複数社経験。ホットリンク社内の分析スキル向上も推進。分析のなかでも、エンタメ業界のトレンド分析が得意。音楽やアニメなど、エンタメ業界に関する社外向けの業界調査リリースなども行う。
Twitter:@Genkitsuji01
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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