効率化や高度な分析に使いたい「専門的なツール」
「ソーシャルリスニング」は、Twitterなどの各SNS上の投稿、クチコミを収集・分析する手法を指す言葉です。ビジネスにおいてはマーケティングやリスク管理、商品開発などに活用できます。
アンケートやインタビュー調査と違い、比較的フラットな意見を集めることができます。また、クチコミさえあれば多岐に亘る意見を集められるため、思いもよらないアイデアを得られることもあります。前回紹介した無料ツールを使う分析も、立派なソーシャルリスニングです。
しかし、無料ツールでの分析では工数がかかり、できることも限られます。より本格的に実施するなら、作業の効率化の観点、分析を高度化して幅を広げる観点からも「有料ツール」の導入が検討されて然るべきです。
そこでこれから2回に亘って、ホットリンクが提供するソーシャルリスニングツール「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長(以下、クチコミ@係長)」を例にしながら、有料ツールをテーマにした内容をお届けします。
今回は、有料ツール導入のメリットや導入検討時のポイント、無料ツールとの違いなどを解説します。
まず有料ツールを導入するメリットは、主に次の3点にあります。
導入メリット(1)分析対象のデータ量が豊富なため、施策改善の示唆を手に入れやすい
各SNSでは、内部のデータをサードパーティのアプリケーションやWebサービスと共有するために「API(Application Programming Interface)」という仕組みを用意しています。多くのソーシャルリスニングツールでも、このAPIを通じてデータを収集しています。
ユーザーによって生成された投稿・クチコミである「UGC(User Generated Content)」のデータを集める際は、有料のAPIを通じて収集する方が、無料のAPIで行うよりも取り漏らしが少なくデータ量も多いため、データとしての価値が高いです。無料のAPIで収集できるのは自社が投稿したデータや、一部のUGCデータに限られます。そのため、企業のマーケティング活動においては、有料のAPIからデータを購入しているツールを推奨します。
最新情報として、2023年1月19日(米時間)に、サードパーティアプリのAPI利用に関する開発者利用規約のアップデートがありました。国内の主要ソーシャルリスニングツールは、本規約とは別のAPIを使用しているため、このアップデートに関する影響はないと考えられます。
有料ツールを通じてダウンロードしたデータは、企業にとって「資産」にもなり得ます。ご存知の通り、情報の移り変わりは年々激しくなっており、連載第2回でも解説したように「情報の99%は届かない」という環境です。データを保持していることで、レポートを作成したり、売上のPOSデータなどと掛け合わせて分析したりと、マーケティングやビジネスにおける活用の幅を広げることができます。
導入メリット(2)作業効率を大幅に改善できる
連載第3回では、無料のソーシャルリスニングでは定量データのダウンロードができないことに言及しましたが、有料ツールではダウンロードが可能となります。これにより、ツイートを目検し、特定の日付に投稿されていたUGC数を、Excelなどの表に手動入力する手間が不要です。
キャンペーン参加者数の抽出作業にかかる時間も削減できるため、キャンペーン運営にかかる現場の負担も軽減できます。たとえばキャンペーン参加者数1,000名の情報を手作業で集計しようとしたら途方もない時間がかかりますが、有料ツールを使えば、ボタンひとつで集計を完了できます。
自社製品に関する月次のUGC数なども自動的に抽出できるなど、有料ツールを駆使すれば、集計など手作業で行っていた業務の作業効率の大幅な改善につながるのです。