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急成長アプリのマーケターが語る奮闘の1年 スキマバイトのタイミーとスマホ向けメタバースREALITY

 2022年10月、AdjustとLiftofftは独自調査の結果をまとめた「モバイルアプリトレンド 2022:日本版」をリリース。リリースにともないアプリマーケティングカンファレンス「Japan App Summit 2022」を開催した。「2021年に成長した注目アプリのマーケターに聞く、マーケティングトレンド」と題されたセッションには、ワーカーの募集人数を1年で4倍に増やしたスキマバイトのマッチングサービス「タイミー」と、月間ユーザー数を半期で2倍以上にしたスマートフォン向けメタバース「REALITY」のマーケターが登壇。この1年に起こったビジネス環境の変化や、サービスをグロースさせるために取り組んだことを赤裸々に語った。本稿ではその内容をレポートする。

スキマバイトの募集人数を1年で4倍に

天野(Liftoff):「2021年に成長した注目アプリのマーケターに聞く、マーケティングトレンド」のセッションです。まずは皆様のキャリアとサービスの紹介からお願いします。

Liftoff Mobile Senior Country Manager Japan & Korea 天野耕太氏
Liftoff Mobile Senior Country Manager Japan & Korea 天野耕太氏

岡田(Adjust):アプリマーケティングの計測ソリューションを提供するAdjustで、カスタマーサクセスチームのヘッドを務めています。元々アドウェイズという広告代理店に5年ほど勤務し、その後は別の会社でアプリの分析やゲームのマーケティングを経験しました。約10年間、アプリ業界にどっぷり浸かっています。

Adjust カスタマーサクセスヘッド 岡田雄伸氏
Adjust カスタマーサクセスヘッド 岡田雄伸氏

中川(タイミー):スキマバイトのマッチングサービス「タイミー」のマーケティングを統括しています。広告代理店からキャリアをスタートしたのち、事業会社でタクシーの配車アプリや「メルペイ」のマーケティングを担当しました。2020年3月にタイミーへジョインし、現在に至ります。

タイミー 執行役員CMO 中川祥⼀氏
タイミー 執行役員CMO 中川祥⼀氏

中川(タイミー):タイミーは「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービスです。一般的な求人プロセスにある面接を無くした点と、勤務終了直後に当社が立て替えた給与を振り込む“即金”の仕組みに大きな特徴があります。サービスの開始から4年が経った現在、登録者数はおかげさまで350万人を超えました。

 今でこそビジネスは順調ですが、コロナ禍を迎えた2020年は厳しかったです。元々渋谷の飲食店を中心にサービスが広まっていったところへ緊急事態宣言が発令され、飲食店におけるアルバイトの求人案件が激減しました。ヒリついた時期を経て、2022年2Qの募集人数は前年比の4倍まで成長しています。

天野(Liftoff):すごい成長スピードですね。この背景には様々な試行錯誤があったと思います。ぜひのちほど詳しく聞かせてください。

海外ユーザーが8割を占めるバーチャル配信アプリ

石井(REALITY):スマートフォン向けメタバース「REALITY」のマーケティングチームでマネージャーを務める石井です。新卒でセプテーニに入社し、その後グノシーでマーケティングの責任者を経験しました。2021年12月から現職で、グローバルのマーケティングとIPコラボを担当しています。

REALITY Bizdev&Marketing部 マーケティングチーム マネージャー 石井健輔氏
REALITY Bizdev&Marketing部 マーケティングチーム マネージャー 石井健輔氏

石井(REALITY):当社は「なりたい自分で、生きていく。」というビジョンを掲げています。容姿という所与の条件に囚われず、スマホ1台で自分の好きな姿に変身して自己表現やコミュニケーションを図れる点がREALITYの特徴です。実際に体験していただくとわかってもらえるのですが、自分の顔の動きや表情にアバターがリアルタイムで連動します。

岡田(Adjust):普通、顔の動きとアバターの動きの間には若干のタイムラグが発生するものですよね。REALITYは正確かつ滑らかに連動するので感動を覚えます。

中川(タイミー):Twitterの裏アカウントのように、アバターを複数持つ方もいらっしゃるんですか?

石井(REALITY):1アカウントにつき最大5アバター登録できます。5アバターをフルで登録して、髪型や服装、性別などを変えながら使い分けている方が多いです。国籍・容姿・年齢・性別にとらわれることなく楽しめる点に価値があるプロダクトのため、マーケティングにおいてもユーザーの属性を区分した施策はほとんど実施していません。

 2018年に日本でサービスをスタートしましたが、現在はユーザーの8割以上が海外の方です。日本のユーザーが海外のユーザーとコミュニケーションを取ることもあります。オンラインゲームの浸透により、若い世代を中心にオンラインでマッチングした相手と交流することが当たり前になりつつありますよね。その流れで国境の概念も薄れているのかもしれません。

天野(Liftoff):海外ユーザーを獲得するために苦労して戦略を立てるマーケターもいる中、意識せずとも8割以上の海外ユーザーを63の国と地域から集めているのはかなり稀有な例と言えますね。

マーケター必見!ベンチマークとインサイトを提供するレポート「モバイルアプリトレンド 2022:日本版」

ゲーム、Eコマース、フィンテック、マッチングアプリ、コネクテッドテレビに関する詳細かつ実用的な分析調査の結果を解説しています。レポートはAdjustのWebサイトからダウンロードしてご確認ください。

2サイドプラットフォームの「卵・ニワトリ問題」

天野(Liftoff):「配信者と視聴者」そして「ワーカーと企業」の両方を集めなくてはならないという点が、タイミーとREALITYの共通項だと思います。両輪を回すにあたり、マーケティングの難しさを感じることはありますか?

石井(REALITY):たとえばフランス語の配信者が0人の場合、フランスでいくらユーザーを獲得しても視聴者が楽しめる配信は少なくなります。タイミーに置き換えても同じことが言えると思います。求人件数が0のエリアで大勢のワーカーさんを集めても、ワーカーさんが困ってしまいますよね。いわゆる「卵が先か、ニワトリが先か」議論の正解は、わからないままですね。

 サービスの構造上、卵とニワトリが表裏一体とも言えます。どういうことか説明すると、一般的なライブ配信サービスは、視聴者から配信者に対する投げ銭の一部を運営側が手数料としていただくビジネスモデルで成り立っています。一方、REALITYの場合は投げ銭に加えて「アバターを購入する」というマネタイズポイントもあるんです。配信者と視聴者の垣根がないぶん、ユーザーは視聴者であると同時に配信者でもあると言えます。

天野(Liftoff):なるほど。正確には両輪ではなくイコールなわけですね。腹落ちしました。

案件激減のコロナ禍で新規市場を開拓

石井(REALITY):ワーカーさんと企業、何対何ぐらいの割合でアプローチするんですか?

中川(タイミー):本当は「1:1」にしたいですが、エリアによって需給のバランスが違うため、なかなか難しいです。たとえば、渋谷区ならワーカーさんはすぐに集まりますが「明日、地方都市で500人のワーカーを集めたい」と言われても現実的には厳しい。また、ワーカーさんが足を運べる範囲でマッチングを創出しなければならないため、物理的な条件にはハードルを感じることがあります。

天野(Liftoff):人口密度が高いほどマッチングしやすいわけですね。タイミーといえば、コロナ禍前後でワーカーさんと求人案件の内訳が大きく変わったそうですね。詳しくうかがえますか。

中川(タイミー):2019年11月は、ワーカーさんのうち学生の構成比が30%と最も大きかったんです。ところが2022年5月になると、会社員が約40%を占めるようになりました。「日中は会社員として働きながら、夜にアルバイトをする」という働き方を志向される方が増えているようです。

 大きな変化は求人案件のカテゴリーにも見られます。2019年7月は飲食系の求人案件が最も多く、全体の57%を占めていました。緊急事態宣言の発令により、多くの飲食店舗が休業した2020年。営業がアプローチ先を変えたところ、軽作業・物流系の割合が増えたんです。コロナ禍でEC利用が拡大し、各地の物流拠点で梱包や仕分けの求人ニーズが高まったことに加え、飲食店に比べて1拠点あたりに必要な人手が多いことも成長要因として挙げられます。

 2020年当時は逆風の年でしたが、新しいビジネスチャンスを発掘できたという点では、長い目で見ると追い風だったと言えるかもしれません。

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真の顧客理解は会話から生まれる

天野(Liftoff):お二人はサービスのグロースやマーケティングを担うお立場です。中川さんの場合は「ワーカーの働き方」「企業のニーズ」石井さんの場合は「海外ユーザーの構成比」など、グロースの背景には予測不能な変数に対するマーケターとしてのチャレンジがあったと思います。

石井(REALITY):日本には、いわゆる「VTuber」が何たるかを理解されている方が多い一方、ヨーロッパでは一部の方にしか知られていません。ライブ配信サービス自体が認知されていない国もあるため、マーケティングアプローチでは国によって訴求内容を微調整しています。

 たとえば動画の場合、日本では「顔出しせずにライブ配信ができます」という切り口でサービスを紹介します。逆にアメリカでは「アニメみたいなアバターになれます」という切り口です。同じ動画を見せるにしても、表現の方法を間違えると全く刺さらないことがあります。難しいですよ。

岡田(Adjust):御社内で各国のカルチャーへの理解をどのように深めているんですか?

石井(REALITY):とてもシンプルです。REALITYを使った配信を通じて理解しています。気になる配信者の配信を視聴したり、自らアプリで配信してユーザーと交流したりしています。真の顧客理解は、顧客と直接話すことでしか達成し得ない気がします。

中川(タイミー):当社のマーケティングチームも、タイミーのアプリ上でユーザーインタビューを定期的に行っています。ワーカーさんがどういうところに課題を感じているか、ヒアリングするんです。石井さんのご意見に同じく、直接話した方が解像度は上がると思います。

変化を楽しめる人がフィットする職場

天野(Liftoff):チームの話が出たところで、人材についてもお聞きします。石井さんのチームは何名体制で運営されているんですか?

石井(REALITY):今は正社員が僕を含めて10名以下のチームでクリエーティブやアライアンスなどを担当しています。

中川(タイミー):当社のマーケティング部門は4つのチームに分かれています。ワーカーさん向けのコミュニケーションを実行するチーム、企業さん向けのマーケティングを担うチーム、課題発見や機能の市場投入を担うPMM(プロダクトマーケティング)チーム、そしてスモールビジネス向けのセールス・マーケティングチームです。

 既にお話しした通り環境変化が激しいサービスのため、マーケティングのToDoや優先順位もスピーディーに変わります。その変化を楽しめる方、スペシャリスト志向でありながら打ち手を広げることに貪欲な方がフィットしやすい職場かもしれません。ちょうどワーカーさん・企業さん向けのチームとPMMチームでのポジションで人を募集しているので、ご興味のある方はぜひ

石井(REALITY):広い裁量を求める方をお待ちしています。REALITYは、グリーが「2~3年で100億を投資する」と明言している新規性が高いサービスです。さらに、マーケティング担当者には現状グローバルで63の国と地域の裁量があることから、取れる選択肢が多い点も特徴と言えます。

天野(Liftoff):マーケターにとって膨大な予算は、失敗も含めて様々なチャレンジができることを意味しますよね。

石井(REALITY):僕自身、Web広告代理店にいた頃「もっと多様なチャレンジがしたい」「領域を広告に限らなければ、できることが増えるのに」と考えていました。同じような思いを持つ方には、ぜひ飛び込んでいただきたいです。

天野(Liftoff):残念ながらお時間が来てしまいました。皆様、貴重なお話をありがとうございました。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/04 10:00 https://markezine.jp/article/detail/40618