※本記事は、2022年11月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)83号に掲載したものです。
【特集】Web3、メタバース、NFT──最新技術がマーケティングに及ぼす影響
─ 「web3とは何か?」をビジネスの文脈で理解する──企業が捉えておくべき変化
─ メタバースで消費行動・ビジネスはどう変わる?仮想空間で問われる「サービスの本質的な価値」
─ “共創”で目指すメタバースの実現。Metaのメタバース事業の現在地、マーケティング活用の可能性とは
─ メタバースの本質は「放課後」のような居心地の良い場所作り(本記事)
─ たとえば、こんなこともできるはず! 現時点で考えられるマーケティング×NFTの選択肢
─ 広告業界ではもはや常識に。テクノロジーの最適活用に不可欠な「テクニカルディレクター」とは
ユーザーはメタバースにいたいわけではない
──昨今メタバースはバズワードとなっていますが、赤川さんは昨今のメタバースに対する盛り上がりをどのように捉えていますか。
昨今盛り上がりを見せているメタバースですが、勘違いしてはいけないのが「メタバースだから使いたい」と思っているユーザーはまだほとんどいないということです。
確かにメタバースはバズワードになっています。ただ、現時点ではFORTNITEやVRチャットなど、バーチャルで居心地の良い体験を提供しユーザーの支持を得ているサービスが、投資家などからメタバースと呼ばれるようになっただけです。そこにMetaをはじめとした大企業も本格参入したことで、2002年にSecondLifeが登場したときのブームとは一線を画すものになりました。
また、コロナ禍でオンラインミーティングが当たり前になるなど、バーチャル空間で過ごす時間が長くなったことで、現実とバーチャルの境目があいまいになったことも、メタバースブームの背景になっていると思います。
メタバースに必要なのは長時間滞在と経済圏
──メタバースであることよりも、バーチャル空間で長く過ごしたくなる体験を提供することが重要なんですね。
私はメタバースには「アバターを用いてコミュニケーションできること」「長時間滞在できること」「経済圏があること」が必要だと考えています。ミラティブではライブゲーミングを通じて配信者と視聴者によるコミュニケーションを活性化させ、配信者は視聴者のギフトによって収益化ができるなど、独自の経済圏を構築しています。
──メタバースというと、VRゴーグルなどを付けて仮想空間と一体化するイメージもありましたが、バーチャルで過ごしていれば、デバイスは関係ないんですね。
メタバース上で時間を過ごすためのデバイスは、日々変わっていきます。長時間滞在する観点においてVRゴーグルなどのデバイスは現時点ではまだ重く、不便です。そのため、VRデバイスはメタバースの必須条件には含まれないと考えています。