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【特集】Web3、メタバース、NFT──最新技術がマーケティングに及ぼす影響

たとえば、こんなこともできるはず! 現時点で考えられるマーケティング×NFTの選択肢

現時点の最適な選択肢は「外部アプリとのコラボ」

──今回はWeb3の中でもNFTにフォーカスを当ててお話を聞いていきます。マーケティング領域でNFTの活用を検討するとき、考えられる具体的な方法を教えてください。

 企業がNFTを絡めたマーケティング施策をやりたいと考えたとき、「外部のアプリケーションと連携する」という選択肢があります。NFTのアプリケーションを自前で開発するとなると大きなコストがかかるので、マーケティングのためにわざわざゼロから開発するのは現実的ではありません。私が今一番おすすめしているのは、Web3のアプリを作っているスタートアップ企業と一緒にプロモーションキャンペーンを企画・実施するという方法です。

 カルビーさんがAstarFarm(※2)で展開したマーケティングキャンペーンは、まさにその事例です。このキャンペーンは、AstarFarm上でバーチャルなじゃがいもを収穫したユーザーの中から抽選でカルビーのリアルなじゃがいもの商品を届ける、というものでした。「SNS上でフォロー&リツイートしてくれた人の中から抽選で〇〇名様に商品をプレゼント」みたいなキャンペーン企画は、既にたくさんありますよね。それらと比べて、この施策が新しいのは、キャンペーンが「顧客体験に落ちている」という点です。

 カルビーさんがキャンペーンで本当に伝えたかったのは、「カルビーのポテトチップスはFARMade/畑由来のものである」ということです。AstarFarmを通して農業に触れてもらい、そこからじゃがいもが生まれるという農業体験をしてもらう。マーケティングキャンペーンを顧客体験に絡めて、話題化につなげていくというこの施策は、ブランディングから実購買への寄与まで、フルファネルに寄与するものであると思います。

※2 AstarFarm:Astar Network上のGameFi(ゲームをプレイすることで報酬・利益を得る仕組み)。暗号資産を預けることで、畑に種をまき野菜を育て、収穫した野菜を販売することができる。

マーケティングキャンペーンで活用できる、おすすめのWeb3アプリ

──AstarFarm以外にも、企業がコラボレーションできそうなアプリはありますか?

 スタートアップを中心に、新しいWeb3のアプリ・サービスは毎週のようにどんどん出てきています。様々なアプリがありますが、ここではAstar Network上にあるイチオシのアプリ・サービスを3つご紹介したいと思います。

 1つ目は「HEAL3(ヘルスリー)」というアプリです。HEAL3はユーザーの健康的な生活をサポートするアプリで、運動・食事・睡眠などの健康行動に応じてユーザーにトークンが付与されます。健康行動はミッション制になっていて、たとえば10キロ以上のランニングでトークンがもらえたり、期間中に一番走行距離が長かった人あるいはチームにたくさんのトークンが付与されたりといった仕組みになっています。アプリ内で獲得したトークンは、企業の商品やクーポン券などに換えることが可能です。具体的に言うと、たとえばスポーツドリンクのブランドがHEAL3とコラボするとしたら、どのような企画が思いつくでしょうか?

 該当のスポーツドリンクを買うとHEAL3で使えるアイテムがもらえ、そのアイテムを持ってブランドが設定したミッションをクリアするとプレゼントがもらえる、というようなキャンペーンのアイデアが出てきます。ブランド側の本当の狙いは、「ユーザーの運動習慣を作ること」「運動のきっかけを作ること」であり、それを目指した新しいブランド体験を創出することができるわけです。

──なるほど。既存のアプリやサービスを軸に考えると、イメージが具体的になります。

 そうですよね。2つ目にご紹介したいのは、メタバース上で自分の部屋を持つことができる「COSMIZE(コスマイズ)」というアプリです。現状、多くのメタバース系のサービスは、外のデータをサービス内に持ち込むことが簡単にはできません。あるサービスでアバターを持っていたとしても、違うメタバースのサービスにそれを持ち込むのは難しい。その点、COSMIZEはブロックチェーンをベースにしたメタバースのアプリなので、色々なNFTをアプリ上にインポートすることが可能です。もう少しかみ砕いて言うと、企業Aが配布したアートNFTや、企業Bが出した家具のNFT、企業Cが出した洋服のNFTなどをCOSMIZE上に持ち込んで、自分の空間を飾ったり、自分のアバターに洋服を着させたりすることができます。最近は色々な企業がNFTなどを配布していますが、配布後の活用方法に悩まれている企業も多いのではと思います。私は「メタバースは開かれた世界である必要がある」と考えており、外部のNFTをインポートできるCOSMIZEは、活用する企業においてもユーザーにおいても、広がりの可能性が大いにあると見ています。

──自分の部屋というのは、どのような感じなのでしょう? まっさらな四角い箱があるイメージでしょうか?

 色々なタイプ、レイアウトの部屋が販売されています。将来的にはみんなリアルとバーチャルの両方でそれぞれの部屋を持つようになる、というのが私の想像している近未来です。リアルの部屋はシンプルにミニマリスト化させていき、バーチャルの部屋はコレクションルームとして色んなものを飾るというような人も増えてくるのではないでしょうか。バーチャルの部屋で推し活をする人も増えてきそうです。

 最後に3つ目はSUSHI TOP MARKETING社が提供している「NFTShot」というサービスをご紹介したいと思います。NFTShotでは、QRコード付きのプラスチックカードを介してNFTを配布することができます。ユーザーはカードのQRコードを読み込むだけで、簡単にNFTを受け取ることが可能です。たとえば、イベント会場でカードを配布して、メタバース上の特別なスペースに入るためのチケット(NFT)を特典として提供したり。アパレルなら、ジャケットのポケットにカードを忍ばせておいて、そこからNFTをもらえるみたいな体験も考えられます。特徴はリアルと絡めた取り組みができる点で、NFTやメタバースの世界に触れるきっかけのところから作ることができます。

 紹介した3つのアプリ、サービスはいずれもAstar Network上で展開されているものです。創業者が日本人ということもあり、日本企業が組むならAstar Networkのアプリのほうが進めやすいと思います。

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これからの時代を象徴する“日本発”のアプリを作り出したい

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/02 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40656

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