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コロナ禍で変わったこと・変わらないこと

顧客起点・データドリブン・アウトカムフォーカスを貫く 日本IBMのCMO・風口さん

優先順位付けの徹底が鍵

鈴木:コロナ禍で変わったことと変わらないことをうかがってきましたが、今後はどうなっていくと予測していますか。御社のアフターコロナにおけるマーケティング戦略をお聞かせください。

風口:先のことはわかりませんよね。コロナ禍だけでなく、最近ではウクライナとロシアの問題や中国のゼロコロナ政策、円安など様々なことが起こり、私たちも影響を受けています。一つひとつの出来事がどういう意味を持っているかを考え、順応していく姿勢が大切だと思います。

 そのために私たちが行っていることが二つあります。まずは徹底的な優先順位付けです。最近当社ではマーケティングのプラットフォームを一新し、キャンペーンを5つに統合したり、Webページについてもグローバル全体で約4,000万ページあった情報を約6,700まで減らしました。必要な情報を、クオリティを担保しつつ届けることが量よりも重要だからです。すでに存在するものを削除する決断は簡単ではありませんでしたが、今はそこからさらに減らしていく戦略です。事業部の戦略と強力に連携しながら、マーケティングが最も効果を出すことにフォーカスしていきます。

鈴木:変化が激しい時代だからこそ、柔軟に対応できる準備をすることでスピーディーに「変える」あるいは「変えない」とジャッジすることができるんですね。

風口:もう一つは「ハイブリッド」の意味や体験を変えていくこと。最近ハイブリッドという言葉が多く用いられるようになりましたが、その意味は「リアルイベントとデジタルのイベントのハイブリッド」だけではありません。たとえばオンサイトのイベントで参加者の手元にあるデジタルデバイスを活用することもあれば、デジタル上で生じるオンサイト経験もあるでしょう。ハイブリッドの意味や体験をどう変えていけるか──私たちマーケターに問われているミッションだと思います。

リーダーに必要なのはパッションと好奇心

鈴木:この先どうなっていくかはわかりませんが、僕はどんな状況でもサバイブしていく自信があります。サバイブするために必要なものはパッションです。パッションは教育できないものの筆頭でもあります。一人のパッションは二人、四人へと広がっていきます。だからこそリーダーはパッションを持つことが求められるのです。どれだけパッションを持てているか、僕は常に自問自答しています。

風口:私は好奇心を持ち、様々なものを見て自分をアップデートしていく姿勢も大切だと思います。私が入社して間もない頃、グローバルのCEOが来日したんです。その際に、ある社員が「リーダーとしてどのようなスキルを身につけておけば良いですか」と質問したところ「必要とされるスキルやナレッジは変わり続けるものだ」と返ってきました。だからこそ、好奇心を持つことが必要なのではないでしょうか。

鈴木:最後に、先行きが見えない中で顧客とのコミュニケーションを模索し続けるBtoBマーケターに向けてメッセージをお願いします。

風口:先ほど顧客起点の話の中で「お客様を理解するためには、データだけでなく実際に対話している営業担当者の力を取り込むことが重要だ」とお伝えしました。営業とマーケティングの間に線を引くような世界はなくなりつつあると感じます。さらに組織には、営業以外にも様々な部署が存在します。それら全ての声を吸い上げてつなぐ“ハブ”のような役割を担えるのはマーケターだけです。マーケティングを究めることによって、デジタルに閉じた机上のインサイトではなく、真に「お客様を見る」という部分をリードしていけると考えています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40762

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