SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

SNSマーケの主役はインフルエンサーからソーシャルセラーに!中国市場のトレンドから5年先の潮流を読む

 2015年頃の“爆買いブーム”の波に乗り、日本企業の中国市場攻略支援で確固たるポジションを確立したNOVARCA(旧:トレンドExpress/2022年12月社名変更)。コロナ禍でインバウンド需要が低迷し、同社のインバウンド支援事業も一度は立ち行かなくなるも、越境EC事業を立ち上げ収益を回復。このほど33億円の資金調達にも成功した。本稿では、同社代表取締役社⻑ CEO 濵野智成氏に、中国市場を中心に隆盛を極める「ソーシャルコマース」の全貌と、グローバルで効果的なSNSマーケティング戦略について聞いた。

中国で台頭するソーシャルコマース市場

——まずは、濵野さんのご経歴とNOVARCAが提供しているサービス内容について教えてください。

 私はDeloitteで経営コンサルティングに従事した後、ホットリンクに参画しました。ホットリンクではCOOとしてグローバル事業や経営戦略、事業開発などを統括し、その後にトレンドExpress、現在のNOVARCAを分社化して、代表取締役に就任しました。

NOVARCA 代表取締役社⻑ CEO 濵野智成氏

 当社では、中国を中心とした日本企業のグローバル展開を支援しています。創業当初はデータ活用の支援が中心でしたが、独自に開発した需要予測ツールやプラットフォームを通じ、EC販売支援・ブランディングプロモーションなど支援の裾野を広げています。

——コロナ禍により、中国市場ひいては国際市場はどのように変化したのでしょうか?

 創業した2015年当時、日本では訪日中国人による爆買いがブームになりました。そのためインバウンド支援を中心に事業を展開していましたが、2020年のコロナショックを機にインバウンド需要が当時の勢いを失ってしまったのです。

日本のインバウンド売上とアウトバウンド売上の変化を示したグラフ
出典:NOVARCA【クリック/タップで拡大】

 ECと一口にいっても、その様相は段階的に変化しています。以前は企業やブランドから商品を購入する「BtoC」が主流でしたが、今は「CtoC」つまり、企業ではなく個人から商品を買うビジネスモデルへと徐々に移行してきています。さらに昨今、中国EC市場で台頭しているのがソーシャルセラーをハブとしたソーシャルコマースという販売形態です。

消費者からの信頼を得てモノを売る「ソーシャルセラー」

——ソーシャルコマースとは、具体的にどのような購買プロセスを辿るものなのでしょうか。

 広義のソーシャルコマースは「ソーシャルメディア、SNSを通じた販売形態」です。私はさらに要素を加え「個の“信頼経済圏”の上に成り立つビジネス」だと定義しています。どういうことかというと、売り手がSNS上でフォロワーを獲得し、フォロワーからの「この人が勧める商品なら良いものに違いない」という信頼の上に成り立つビジネスモデルだということです。その売り手をソーシャルセラーと呼びます。

 似た存在としてインフルエンサーがありますが、インフルエンサーが広告収入を主な収入源としているのに対して、ソーシャルセラーは自身で商品の買い付けから在庫調整、値付けまで行う。たとえるなら楽天市場の店長のような存在です。

 ソーシャルセラーとインフルエンサーでは、普段投稿するコンテンツの種類も異なります。インフルエンサーのコンテンツは自身のライフスタイルや趣味趣向を切り取ったものが多いのに対し、ソーシャルセラーのコンテンツは自身の得意領域に関する専門知識を紹介したものが多いです。つまり、ソーシャルセラーはフォロワーの悩みを解決する、ある種コンシェルジュ的な役割を担っています。

出典:NOVARCA【クリック/タップで拡大】

 特に中国市場は「信頼経済の上に成り立っている」とよくいわれます。中国の消費者は他の国の消費者より懐疑心が強く「情報を簡単に信じない」などの特徴が見られます。こうした中国の消費者に対し、確かな質の商品・サービスを提供してくれる存在がソーシャルセラーというわけです。

 実際、中国におけるチャネル別の日本商品の購入額を見ると約1.8兆円、全体の約4割をソーシャルセラーチャネルが占めています。摸造品や質の悪い商品を掴むリスクや危機感から「信頼しているあなたから買いたい」というヒューマンドリブン、もしくはリレーションドリブン消費が中国市場では主流となっているのです。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
遅れをとる日本企業、インフルエンサー市場は縮小へ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

釘﨑 彩子(クギサキ アヤコ)

 2019年からマーケティング・広告の専門出版社で編集者として勤務。広報・PR分野を中心に編集業務にあたる。2022年よりフリーランスのライターに。媒体問わず、マーケティング、広報、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/01/13 08:30 https://markezine.jp/article/detail/40887

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング