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【ブルーミー×wevnal対談】生み出した「うれしい」の総量がプロダクトの価値を決める

横の分断を極力減らし、全社で顧客に向き合う

磯山:社内の体制やオペレーションで注力していることはありますか?

戸口:社員みんなのエネルギーが顧客に向いているのは大前提として、その上で仕組みとしてすべての部門に「リード」というポジションを置いています。オペレーションチームやマーケティングチーム、プロダクトチーム、経理やコーポレート、HRもですね。

 リードが週1で集まって情報を共有し、責任を持ってそれぞれの部門に持ち帰って情報流通させる仕組みです。情報の非対称性や横の分断を極力減らし、その情報をもとに顧客のために何をすべきかをそれぞれが考えるというカルチャーなんです。

磯山:戸口さんは情報流通の流れの中でどのような立ち位置になるんでしょうか。

戸口:僕は各部門でのレビューに参加し、施策やプロダクトを世の中に出す前の最終チェックをしています。これをどんどん回していると、レビューを通してチームの考え方、能力、成熟度が育っているのを感じますね。

磯山:全部のチームに入るんですか! 大変ですね。

戸口:まとめられるミーティングは同時に行うなど工夫しています。チームの質が上がればレビュー通過率が上がり、レビューにかかる時間も減るので、どんどん楽になってきていますよ。

 あわせて、新たな役員陣になれる人材の育成にも取り組んでいます。候補の人間に対してはレビューの細かさやレベルを上げ、本人にも「覚悟してくれ」と伝えてあります(笑)。

磯山:ちなみに、先ほどお聞きしたユーザーヒアリングやN=1分析の結果も全社に共有するんですよね。

戸口:社員、アルバイトに関係なく全員を集めて、そこでN=1の大切さを改めて話して情報共有しています。僕を含めヒアリングやN=1分析を行った人が内容を発表し、集まった人にディスカッションしてもらうんです。

 その際「あなたがどう思うかではなく、このユーザーさん(ヒアリング対象者)がどう思っているかをディスカッションしてください」というのを徹底しています。

 たとえば顧客から「ここのボタンは大きいほうがいい」という意見が出た場合、訴えたいのはボタンが小さいことではなく、ボタンが見つけにくいことだったりします。言葉を鵜呑みにせず、「本当の課題は何なのか」をしっかり捉えることが大切です。UIを例に挙げましたが、すべての領域に当てはまると思います。

既存業界を破壊するのではなく、ともに歩む

磯山:最後に、今後の戦略や方針についてお話しいただければと思います。

戸口:メイン事業であるブルーミーを拡大する、今まで積み上げてきたオペレーションやナレッジを活用して花以外のカテゴリーでの事業を拡張するの2つですかね。

 花のサプライチェーンは今、生産者・市場・花屋・顧客が全部分断されている状態なんです。僕らは顧客にエネルギーを向けるチームなので、顧客からのフィードバックを仕入れや生産にも届けられる仕組みを作りたいと思っています。

磯山:サプライチェーンを逆にたどる感じですね。

戸口:花業界はアーティスト・職人気質な方も多いので、それぞれに分業になりがちな印象です。業界のこだわりや想いとマーケットが一致していればいいですが、ずれた瞬間にビジネスは終わるので、絶対に顧客を見なくてはいけません。

 また、加工場の環境や延命剤の成分などがサイエンスされていなくて、結構みんな言っていることがバラバラだったりするんです。それを実際に検証してデータとして証明する役割を僕らが担うことも考えています。これは情報流通ですね。

磯山:仕組み作りやオペレーションを含め、サプライチェーン全体のアップデートが今後の方針という感じですかね。

戸口:そうですね。花のケアに関するノウハウは生産者さん、流通網の情報は市場の皆さんが持っています。僕らは顧客の声やエビデンスとしてのデータをフィードバックすることができます。お互いが持っているものを提供しあうことで花の流通がもっと良化して、もっといい花が早く顧客に届く。それが「うれしいを創る」というミッションにもつながります。

 そして、現在はサブスク事業をメインで行っておりますが、今年はサブスクで積み上げたオペレーションやノウハウを活用した事業拡張も行います。顧客の「うれしいを創る」ことができるシーンはまだあると思いますし、ブルーミーでないと創れないシーンがあると思っています。

 僕らが大切にしている価値観やなすべきこと、つまりミッションの実現に向け、顧客起点を大事にしながら事業を創っていきます。

 既存の業界をディスラプト(破壊)するのではなく、一緒により良い業界を作っていければと考えています。

編集後記

 今回、お花のサブスクというマーケットを創造し、急成長しているユーザーライクさんにお話を伺いました。

 特に印象的だったのは、顧客に向き合うことを徹底していらっしゃる部分です。

 ユーザーインタビューという施策だけに留まらず、チームを問わずに組織全体で、ミッションである「うれしいを創る」を徹底し、顧客に実直に向き合うことで日々改善をしブランドの価値を向上されているという組織構築について聞くことができました。

 また、情報の非対称性をなくし情報流通に力を入れたり、分断されていた業界構造の変革に取り組んだりするなどとても興味深いお話を聞くことができました。

 お花のサブスク「ブルーミー」並びにユーザーライクさんの今後の活躍を要チェックです。

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40998

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