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【ブルーミー×wevnal対談】生み出した「うれしい」の総量がプロダクトの価値を決める

ターゲット層の声を幅広く聞かないと失敗につながる

磯山:この対談企画でこれまでインタビューさせてもらったAnker Japanの猿渡さんもFABRIC TOKYOの森さんも、自らユーザーヒアリングをしていると言っていました。戸口さんもやっていらっしゃいますか?

戸口:僕は毎週3人ぐらい、継続的にユーザーヒアリングをしてN=1分析を行っています。ブルーミーはできるだけ多くの人に分け隔てなく提供したいサービスなので、僕が普段接する機会のない人達の声も聞いておかないと失敗すると思うんです。

 顧客の声を聞き、顧客を代表して経営を執行する感覚でヒアリングと分析をしています。

磯山:ヒアリング対象はどのようにピックアップしているんですか?

戸口:まず目的と課題から、どういう顧客と話をしたいかを決めます。出荷回数が5~10回くらいの人がいいとか、登録したばかりの人がいいとか、職業や属性はこういう人がいいとか。そのオーダーをチームに連携すると、メンバーが条件に合うユーザーさんに連絡を取り、翌週にはGoogleカレンダーにヒアリングの予定が入っているという仕組みを作ってあります。

磯山:そこまで仕組み化してあるんですね。ちょっと震えました。目的と課題はどのように設定しているんですか?

株式会社wevnal 代表取締役社長 磯山 博文氏
株式会社wevnal 代表取締役社長 磯山 博文氏

戸口:数字的なデータからユーザーさんの行動と心理に仮説を立てて、「このときどういう状況でしたか?」というのを質問しています。仮説を立てても、実際に声を聞いてみないとなぜそうなるのか、わからないんですよね。

 ヒアリングする方が「いいですね」と言ってくれていても、表情が大して動いていない場合もあるので、そういうのも含めて見るようにしています。見極めるのはすごく難しいです。それはもう数をこなすしかないので、プロダクトチームとマーケチームは毎週やっているし、僕も毎週やっています。

事業成長と顧客の喜びを両立させるのが理想

磯山:ミッションやN=1分析からわかったことを、具体的な施策にどう落とし込んでいるのかをお聞きしたいです。

戸口:徹底的にKPIのマネージメントをするのが基本的な施策の回し方です。たとえば配送パッケージの改善も、KPIを追いながらPDCAをひたすら回すのを繰り返しています。

 重要なのは、社員みんなのエネルギーが顧客の方向を向いていることです。「ヒト、モノ、カネ」を動かす源泉は生命力や気力、かっこよく言うとモメンタムだと僕は思っていて、そのエネルギーを顧客に向けることを徹底しています。

 KPIの数字を追ってはいるけど、OSの部分は顧客を向いているという感じですかね。

磯山:KPIを設定すると、その数字しか見えなくなってしまうこともありますよね。そうではなく、あくまで顧客のほうを向いている。

戸口:施策や意思決定の方向性を4象限マトリクスで表すと、2つの軸は「ブランドがグロースする方向⇔クローズする方向」と「顧客が喜ぶ方向⇔喜ばない方向」になります。「ブランドがグロースして、かつ顧客が喜ぶ」右上の領域に収まるのが理想です。

 事業は伸びるけどユーザーさんに単純に負担をかけるような施策はやりたくないですし、いくら顧客のほうを向くと言っても、顧客が喜んで事業が伸びない施策も基本的にはやりません。事業が伸びなければブランド自体が終わってしまいます。そうなったら、顧客全員を悲しませることになるじゃないですか。

磯山:なるほど、おもしろい。事業成長と顧客の喜びを両立しながら進んでいかなくてはいけないというわけですね。

戸口:理想はそうです。現実的には、右上の領域からはずれることを一時的にやらなくてはいけないこともあると思います。ただ、そこに打った点は必ず右上に戻していきたいです。

 社員も「今回の施策は右上からずれている」ということを認識した上で、少しずつ軌道修正していってくれます。理想と現実の狭間で揺れながらも、あくまで目指すのは右上なんです。

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横の分断を極力減らし、全社で顧客に向き合う

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40998

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