ここは“Learning Culture”の会社
有園:味澤さんとは、10年以上前に業界のカンファレンスでご一緒してから、長いお付き合いになります。MicrosoftやTwitterを経て、2020年1月にFacebook Japanの代表に就任され、丸3年ですね。
味澤:そうですね。有園さんもMicrosoftに参画されて。
有園:はい、久しぶりの外資系企業です。今、チームのメンバーと1on1をしたりしているのですが、外資におけるキャリア形成の話題がやはりたびたび上がるんですね。そこで今回は外資でのキャリアが厚い味澤さんに、どのような考え方で進んでこられたから今の立場があるのか、また現状のネット広告業界における取り組みやメタバースについてなどもお聞きできたらと思います。
はじめに、Facebook(当時)に参画されたときの印象や実感をうかがえますか? ちょうど、コロナ禍に突入しようとしていた時期だったと思います。
味澤:まさに。入社直後の研修で本社に2週間くらいは出社しましたが、あとはリモート主体になってしまいました。ただ、短期間でも複数のエグゼクティブメンバーと会えて話を聞いたところ、「ここは“Learning Culture”の会社だから」と言われ、それが印象に残っています。
外資はよく“First 90 days”といわれ、3ヵ月で結果を出すのが暗黙の了解みたいなところがありますが、我々はそうじゃないと。「あなたが入る前から優秀なメンバーがそろっているから、焦らずに人の話をちゃんと聞くことから始めたほうがいい」と言われましたね。
外資における組織づくりの観点
有園:それは、やりやすいですね。ただ、世間的には大変な状況でしたが、どういった点を心掛けていたのでしょうか?
味澤:まず、従業員の安全安心を第一に考えました。同時に、事業の継続を考えて「グローバルプラットフォームの日本法人として何ができるか」を検討し、厚労省など信用できる情報ソースと組んで常に正しい情報を伝え、東京都とは中小ビジネスのデジタルシフト支援に着手しました。
外資、特に我々のようなプラットフォーマーの内部は基本的に縦割りなので、日本のオフィスにいながらレポートライン(報告を上げる先)は部署ごとに各国のオフィスだったりするんですね。ただ、このときは「日本のオフィスで一体になるべきだ」と思いました。そこで、Metaのミッション「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現します」を踏まえて、東京オフィスにおける横の関係づくりから注力しました。
有園:そして今、日本ではInstagramの勢いが強いですよね。
味澤:はい。日本はグローバルで最初に、FacebookよりInstagramの広告売上が大きくなった国なんです。我々は“Instagram-Led Growth”と呼んでいます。Instagramが成長を牽引している、ということですね。
Instagramの成長を主導する日本市場の存在感が大きくなれば、グローバルで投資を増やしてもらうことが可能です。そういった観点が、外資のプラットフォームでは重要だと思います。